トランプ米大統領は日本時間12日、ロシアとウクライナがエネルギー関連施設への攻撃停止で合意したとSNSで発表した一方、当事国であるウクライナのゼレンスキー大統領が「初耳だ」と否定し、専門家は米国内の軽油価格高騰に対応するための圧力であると指摘している。.
国際刑事裁判所への制裁と広がる名称変更の要求
トランプ政権は、国際刑事裁判所(ICC)が意欲を示してきたノーベル平和賞に元判事が選ばれた直後のタイミングで、ICC本体を制裁対象に指定した。これまでは赤根所長ら個人への資産凍結などを科してきたが、本体への制裁へと踏み切った形となる。これに先立ち、テネシー州での選挙集会では太平洋か大西洋を「トランプ洋」や「アメリカ洋」に改称する考えを示した。過去にもメキシコ湾を「アメリカ湾」に改称する大統領令に署名し、8月にはカナダ国境のオンタリオ湖を「アメリカ湖」に変更するよう要求するなど、名称変更の連発が続いている。
ウクライナの製油所攻撃とトランプ氏による突然の停戦発表
トランプ大統領は日本時間12日、自身のSNSでロシアとウクライナの戦争におけるエネルギー関連施設への攻撃停止に双方が合意したと投稿した。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領はニュースサイト「アクシオス」のインタビューに対し、そのような事実は「初耳だ」と述べ、ロシア側が同意するならウクライナも同意すると語った。実際には、この投稿のあともウクライナ国内の発電所がロシアによる攻撃を受けていることが確認されており、当事者間の合意形成とはかけ離れた状況にある。
中間選挙を3週間後に控え浮き彫りになる国内要因
なぜトランプ大統領は当事国に相談することなく停戦を突然発表したのか。アメリカ政治に詳しい明海大学の小谷哲男教授は、米国内での軽油価格の上昇が背景にあると分析する。農業や運送関係者から悲鳴が上がるなか、軽油価格の高騰は3週間後に迫った中間選挙に向けた大きなマイナス要因となっている。ウクライナがここ数カ月間にわたってロシアの製油施設への攻撃を強めたことで世界全体の軽油供給量が減り、価格が上がっているという認識のもと、ウクライナに圧力をかける狙いがあったと小谷教授は指摘している。
ウクライナへの圧力と今後の政治日程がもたらす影響
ウクライナ側が関知しないまま発表された今回の停戦合意は、ウクライナの製油施設攻撃をやめさせるための外交的・政治的な揺さぶりとして機能している。米国内の経済的な不満を和らげたい政権側の思惑と、戦況を有利に進めたい当事国の思惑が交錯する中、中間選挙までの限られた期間でさらなる発言や政策的措置が飛び出す可能性もある。ウクライナ側の反発が続く一方で、米国内のエネルギー価格の動向と選挙戦への影響が引き続き最大の焦点となっている。