ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は15日、ロシアの石油精製所への攻撃を再開すると表明した。ドナルド・トランプ米大統領が提唱した「エネルギー停戦」をめぐり、双方が合意に至らないまま攻撃が激化しており、ウクライナ側は米国の軍事支援や情報提供が制限されていることへの不満をあらわにしている。
攻撃再開の背景とエネルギー停戦の決裂
ウクライナによるロシアの石油精製所への攻撃が再び動き出した。ウクライナ政府はこれまで、平和交渉への意欲を示すために攻撃を一時停止していたが、ゼレンスキー大統領はメディアのインタビューに対し、「ブロック(精製所攻撃の制限)は外れた。我々はもう終わりだ」
と宣言した。この決定は、ロシア側がウクライナのエネルギーインフラへの攻撃を継続し、停戦合意が事実上機能していない現状を受けたものだ。
15日には、モスクワ南方のリャザンにある石油精製所が攻撃を受けたとロシア国防省が発表した。同省は、ドローン数十機とミサイル4発を迎撃したものの、落下した残骸が火災を引き起こしたと主張している。一方、ウクライナ側もロシア軍による大規模なドローン攻撃を受けており、キエフを含む各地で停電が発生するなど、インフラへの打撃が深刻化している。
米国の支援縮小とゼレンスキー大統領の反発
「技術的な問題ではなく、意志の問題だった」
写真:irishexaminer.com ウォロディミル・ゼレンスキー、ウクライナ大統領
また、ウクライナ側は、米国からの戦場情報の提供が滞っていることにも懸念を示している。ゼレンスキー大統領は、米国側から「攻撃をやめなければ情報共有を遮断する」と通告されたことを明かし、こうした圧力がウクライナの自衛権を損なっていると訴えた。イタリアのグイド・クロセット国防相は、米国が情報共有を制限することは” 「完全な間違い」 “であり、ウクライナの防衛能力を奪うことになると懸念を表明している。
膠着する交渉と今後の見通し
トランプ大統領は、ロシアの石油精製所への攻撃がディーゼル燃料の国際価格上昇を招いているとして、攻撃の即時停止を求めてきた。しかし、ロシア側がエネルギーインフラへの攻撃を強める中、ウクライナ側にとって、一方的な攻撃停止は譲歩にしか映らない。

ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領が「ウクライナの弱体化」を確信したときに戦争は終わらないと警鐘を鳴らす。同大統領は、西側諸国が支援を縮小すれば、ロシア側が勝利を確信し、戦争を継続するだろうと強調した。ウクライナと米国の間の不信感が深まる中、戦況がどのように変化するのか、また停戦に向けた「正直な対話」が実現するのかは依然として不透明なままである。
