米防衛スタートアップのShield AIは、垂直離着陸と3,700kmの航続距離を持つ野心的な無人戦闘機「X-BAT」のプロトタイプを開発中であり、最初の1機が数週間以内に完成する予定であるとアーマー・ハリス氏が明らかにしました。
X-BATプロトタイプの完成と今後の飛行試験の予定
Shield AIのアーマー・ハリス氏が明かしたところによると、同社は実物大のプロトタイプを2機製作しており、最初の1機が数週間以内に完成する見込みです。年末にはプロトタイプを使用した飛行試験を開始し、技術的リスクの低減を図るため垂直離着陸の試験を行う計画が進められています。X-BATは複雑なシステムなしで垂直離着陸が可能であり、エンジンのアフターバーナーだけで必要な推力対重量比を達成できる設計です。搭載武器を放棄することなく垂直着陸を行えるほか、武器を搭載した状態で最大3,700kmを飛行できる性能を備えています。シヴァ・ヴァラバネニ氏はこれが2026年末までにプロトタイプの飛行実験を実現する最大の鍵になったと述べています。
30年前の軸対称ベクトル排気ノズルを用いた開発手法
X-BATはAI制御による自律能力以外は既存の成熟した技術で構成されており、垂直離着陸を実現する軸対称ベクトル排気ノズル(AVEN)には1990年代のF-16MATV計画で使用されたものが採用されています。GEエアロスペースの倉庫に眠っていたAVENノズルを引っ張り出して使用しており、GEのF110-GE-129Eエンジンに統合された上で機能チェックアウトとエンジン点火テストが完了しました。シヴァ・ヴァラバネニ氏は推力偏向ノズルの製作と検証を我々が必要とするスピードで成し遂げることのほうがエンジンを調達するよりも困難だと指摘しています。あくまで30年前のAVENノズルは開発期間を圧縮するための暫定的なものであり、最終的にはより軽量で高速かつ高性能なノズルが製造される予定です。
国防総省からの資金援助とポーランドとのパートナーシップ
X-BAT計画はShield AI独自の取り組みとして潜在的な顧客を確保しないままスタートしましたが、国防総省の国防イノベーションユニット(DIU)と米海軍から計2億ドルの資金援助を引き出すことに成功しました。さらに、ポーランドのPGZおよびWZL2との間で、X-BATの設計、製造、納入、維持管理に関するパートナーシップの基本合意書に署名しています。この協力関係は欧州における分散型航空戦闘力の配備と維持能力を強化するとともに、ポーランド国内での生産やF110エンジンサポートの構築を目指すものです。戦闘機購入を検討している国が関心を示すことで交渉上の立場を強化する中、この基本合意書は将来有望なプラットフォームに対する具体的な関心を差し出す形で行われました。
米陸軍のMQ-1C後継機としての関心と空軍との関係
Aviation Weekの取材に対し、アーマー・ハリス氏はX-BAT計画が海軍からの資金提供を受けているだけでなく、米陸軍からも大きな関心を集めていると述べています。このプラットフォームは陸軍のMQ-1C後継機や他のプログラムにとって非常に有力な候補になり得ると考えられています。X-BATはAH-64とほぼ同じ重量であり、後方支援の規模もAH-64と非常に似ていることが陸軍の関心を惹きつける要因となりました。対地攻撃の領域において垂直離着陸能力を持つX-Batが空軍と陸軍の間で役割や任務を巡る論争を引き起こす兆候はなく、ハリス氏は誰も気にしていないと語っています。
国際的な注目を集める多用途性と今後の見通し
X-BATは多用途性、滑走路に依存しない運用能力、コストパフォーマンスの高さから国際的な注目を集めています。特にF-35とF-16の戦闘能力を拡張したい国々や、F-35のような戦闘機を運用するインフラや大規模な空軍を備えていない国々から関心が寄せられている状況です。Shield AIは数週間以内に最初の実物大プロトタイプを完成させ、2026年末までの飛行実験に向けて技術的検証を進める方針を固めています。