南方気候の異常な10月熱波が一段落する中、アメリカ国立ハリケーンセンターはサンディエゴ郡沿岸などに対し、史上2例目となる熱帯風暴警報を発令しました。北上する熱帯風暴ラッセル接近に伴い、週末にかけて記録的な温水と早めの気圧の谷が重なり、大雨や高潮、強風が警戒されています。
サンディエゴ郡で史上2例目の熱帯風暴警報が発令
アメリカ国立ハリケーンセンターは2026年10月9日までに、熱帯風暴ラッセルの接近を受けてカリフォルニア州南部の一部地域に熱帯風暴警報を出しました。この措置が取られるのは、2023年8月のハリケーン・ヒラリー以来、同郡の歴史上わずか2度目となります。
東部太平洋で勢力を弱めながら北北東へ進んできたラッセルは、カリフォルニア・メキシコ国境周辺へ向かって移動しています。当初の予想から北上する進路へと大きく変化したため、サンディエゴ地域への接近がより差し迫ったものとなりました。気象当局によると、週末には大雨や鉄砲水、激しい波浪が南カリフォルニアを直撃するおそれがあります。

サンディエゴの気象当局によれば、この熱帯風暴警報は沿岸部、谷間、山岳地帯、および砂漠地帯を対象として金曜日に発令されました。週末には激しい雨や鉄砲水、海岸部の浸水、突風に対する警戒が呼びかけられています。また、沿岸部などの低地では、平均を上回る潮位や浸水の危険性があるため、火曜日の午後2時まで海岸洪水注意報が継続して発令されています。
全米気象局(NWS)サンディエゴ支局の気象予報士カイル・ホイーラー氏は、今回のシステムが地域よりも南を通過する可能性がやや高いとの見方を示しつつも、進路が南側へ寄れば影響は局だけに、逆に北上すれば降水量や風の影響が増大すると述べています。予報では、土曜日の夜から日曜日の朝にかけて南東部が最も大きな影響を受けるとされ、モデル計算では0.40インチから1.25インチの降水量が想定されています。最悪の場合には1.79インチに達する可能性もあります。
記録的な温水と気圧の谷がもたらす異例の再発達
乾燥した大気や安定した気団にもかかわらず、今回の接近には特殊な気象条件が重なっています。周辺の海水温は平年より非常に高く、記録的な暖かさを記録しています。非常に強いエルニーニョ現象と長期的な海洋熱波が背景にあるこの高水温が、嵐の「燃料」として機能しています。

さらに、今週末には太平洋から早めの気圧の谷が接近する見通しです。気象専門家によれば、この気圧の谷が上層の強い発散を引き起こして、嵐の「換気」を促進するため、ラッセルは最終段階で予想外に勢力をやや強める可能性があります。
NWSのデヴィン・ブラック氏によると、ロサンゼルス郡でも0.25インチから0.75インチ程度の降水が見込まれており、サンガブリエル山脈の一部地域では最大2インチのまとまった雨が降るおそれがあります。月曜日には別の低気圧が南カリフォルニアへ移動してくるため、さらなる雨の可能性が残されています。
アメリカ国立ハリケーンセンターはWeatherwestの報告の中で、「ラッセルが部分的に発生させたうねりが、週末にかけて南カリフォルニアおよび北部バハ・カリフォルニアの沿岸で発達するでしょう。これらのうねりは、来週初めにかけて、生命を脅かすサーフィンや離岸流の状況を引き起こす可能性が高いほか、中程度から局地的に大規模な海岸の洪水を引き起こすおそれがあります」と述べている。
沿岸部の深刻な高潮と内陸部の雨風への警戒
ニューポートビーチ市などの沿岸自治体では、ユーティリティクルーがバルボア半島やバルボア島でポンプを稼働させ、週末から月曜日にかけても浸水を防ぐための作業を継続する計画です。市の広報担当者ジョージア・リオス氏がその対応を進めています。
内陸部や山岳地帯でも影響は避けられません。サンディエゴ郡では最大1インチ前後の降雨が見込まれ、山間部では1インチから3インチの雨が予想されており、ファションバレーのモール周辺などで局地的な冠水の原因となるおそれがあります。風速については、沿岸や谷筋では時速10から20マイル、突風で30マイル程度の風が吹くほか、山岳部や砂漠地帯では時速20から30マイル、突風で45マイルに達する強風が吹き荒れる見通しです。さらに、サンディエゴ国際空港周辺などでは時速30マイル前後の突風や、最大時速60マイルに近い孤立した突風が吹く可能性もあり、地域住民や旅行者に対して慎重な運転や冠水した交差点への進入を避けるよう強い警戒が呼びかけられています。