過密日程に苦しむサッカー界では、相次ぐ過酷な試合数が持続不可能であると指摘されている。大学の専門家や選手組合が警告を発し、トップ選手たちの身体的・精神的な限界が浮き彫りになってきている。
リヴァプールの主将フィルジル・ファン・ダイクをはじめ、デクラン・ライス、モーガン・ロジャース、ハリー・ケインといった面々は、2025-26シーズンに全公式戦で4,000分以上もの出場時間を記録し、今季も同様のペースで試合を重ねている。長期化する国際試合期間の合間にも過酷な連戦が強いられており、専門家からは、この運用をこのまま維持することは不可能であるとの声が上がっている。
選手を蝕む過密日程とメンタルの危機
リンカーン大学の心理学・スポーツ科学・ウェルビーイング責任者であるデイヴ・リチャードソン博士は、現在の状況について警鐘を鳴らす。
同博士は、パフォーマンスの質低下に対する批判が今後さらに高まると指摘している。さらに、カーディフ大学の心理学講師で睡眠とスポーツパフォーマンスの専門家であるクリス・ジェームズ博士は、「特に男子の競技においては、自分たちはうまくやっているように見せなければならないという文化があり、メンタルヘルスに対する姿勢はまるで時代遅れのようだ」と述べている。

ジェームズ博士によれば、選手たちは常にトップレベルでの緊張を強いられ、スヌースなどの依存的な対処法に頼る傾向が見られるという。過密な試合日程のもとでは真の休息や心理的な切り離しが難しく、身体的負荷が大きな精神的ストレスへとつながっている。
相次ぐ代表招集の辞退と業界への警鐘
過酷な環境のしわ寄せは、代表チームへの辞退者という形で表面化している。直近のインターナショナルウィーク前には、イングランド代表からコール・パーマー、マーカス・ラッシュフォード、デクラン・ライス、コビー・メイヌー、ティノ・リヴラメントの5選手が相次いで離脱した。ドイツのカイ・ハヴァーツやフランス代表のキリアン・エムバペも同様にチームを離れている。
プロサッカー選手協会(PFA)のマヘタ・モランゴ最高経営責任者は、選手にとってキャリアで最も誇らしい瞬間であるはずの代表招集時に、イングランド代表から5人もの選手が離脱せざるを得なくなった状況を目の当たりにすると、「業界のどこがおかしいのかと自問せざるを得ない」と語っている。

選手たちは代表でのプレーを深く誇りに思っているものの、肉体的な限界がそれにブレーキをかけているのが現実である。
先行きが見えないカレンダーと選手の心理的負担
クラブ・ワールドカップの新設やワールドカップの出場枠拡大、さらにプレミアリーグ、国内カップ戦、UEFA主催大会における試合数の減少が見られない中、明確な解決策はいまだ示されていない。
リンカーン大学の心理学・スポーツ科学・ウェルビーイング責任者であるデイヴ・リチャードソン博士は、「選手たちはカレンダーに対してほとんどコントロール権を持っていません」と述べている。
出場を続ければ負傷リスクが高まり、キャリアや契約への不安がさらに増大する。一方で、出場しなければパイプラインから外れる恐怖もあるという板挟みの状況について、リチャードソン博士は「進退窮まる状態だ」と表現している。