コンゴ民主共和国(DRC)で発生しているエボラ出血熱の感染者が、政府の最新データで初めて4,000人を突破しました。コンゴ民主共和国の公衆衛生研究所によると、累計感染者数は4,053人に達し、死者は1,850人を記録しています。この流行は、2014年から2016年にかけてギニア、リベリア、シエラレオネで2万8,000人以上の感染者が出た西アフリカの流行に次ぎ、世界で2番目に大きな規模となっており、「記録上最も急速に拡大している」と表現されています。
感染拡大の現状と地域的影響
今回の流行は、5つの州(イトゥリ、北キヴ、南キヴ、オートウエレ、ショポ)で確認されています。特に東部のイトゥリ州がエピセンター(震源地)となっており、DRC国内の全確認症例の約90%を占めています。イトゥリ州内では、ブニア、ルワンパラ、モンブワルの各ヘルスゾーンが特に深刻な影響を受けています。
封じ込めを困難にする要因
専門家は、今回の流行が5月15日の宣言よりも数ヶ月前の1月、あるいはそれ以前から循環していたと考えています。7月に学術誌『Science』に掲載された報告書では、1月中旬から5月15日の間に500件以上の疑い例が特定されていました。

封じ込めを妨げている主な要因として、以下の点が挙げられています:
- ワクチンの不在: 今回のウイルス変異株に対するワクチンが存在せず、コントロールが困難になっています。
- 追跡の遅れ: 接触者のフォローアップ率は75%にとどまっており、迅速な伝播経路の特定に必要とされる目標値95%を下回っています。
- 治安悪化: イトゥリ州では、イスラム国(IS)が支援する同盟民主軍(ADF)による攻撃があり、多くの村へのアクセスが遮断されています。
- 避難民のリスク: 国連難民高等弁務官事務所は、200万人以上の強制避難民がリスク地域に居住していることに深い懸念を示しています。
現場の混乱と医療従事者の窮状
急速な感染拡大に対し、現場の医療体制は限界に達しています。AP通信が報じたところによると、イトゥリ州の治療病院で働く感染管理担当のウィザ・ボンデレさんを含む数百人の最前線スタッフ(埋葬チームや運転手を含む)が、5月中旬の流行宣言以来、給与を支払われていない状況にあります。

国際機関による緊急要請
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長らが率いたハイレベルミッション団は、8月4日と5日にウガンダとDRCを訪問しました。ウガンダでは20人の感染と2人の死亡が記録されましたが、2026年7月28日に流行終息が宣言されており、早期発見と迅速な接触者追跡、コミュニティの関与が封じ込めの鍵となったことが示されました。
これを受け、WHOとアフリカ疾病対策センター(Africa CDC)は、DRCにおいてコミュニティ主導の対応を緊急に拡大するよう呼びかけました。具体的には、早期検知の強化、接触者のフォローアップ、ケアへのアクセス改善、そして最前線の医療従事者への支援とリソースの迅速な提供を求めています。