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クアルコムとファーウェイが包括的特許ライセンス契約を発表、規制当局の承認待ち

この合意の中で、業界の注目を集めているのがファーウェイの独自技術に関するライセンスだ。通信分野での世界的な特許ホルダーであるファーウェイは、米国の輸出管理によって最先端の半導体製造装置へのアクセスを断たれたという逆境の中から、新たな活路を見いだしてきた。中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)と米クアルコムは2026年10月5日、5G、AI、コンピュー…

クアルコムとファーウェイが包括的特許ライセンス契約を発表、規制当局の承認待ち

この合意の中で、業界の注目を集めているのがファーウェイの独自技術に関するライセンスだ。通信分野での世界的な特許ホルダーであるファーウェイは、米国の輸出管理によって最先端の半導体製造装置へのアクセスを断たれたという逆境の中から、新たな活路を見いだしてきた。中国のファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)と米クアルコムは2026年10月5日、5G、AI、コンピュート、ネットワークの各技術を対象とする複数年の包括的な特許ライセンス契約を結んだと発表した。両社による今回の契約は、5G分野まで範囲を広げた初めての相互ライセンスであり、あわせてクアルコムがコンピューティング、AI、ネットワークなどの分野におけるファーウェイの米国特許の一部を購入する内容も含まれている。ファーウェイの知的財産権(IP)ポートフォリオの拡大は、奇しくも米国による厳しい輸出管理や規制措置が、同社の技術開発を抑制するどころか、かえってその成長を加速させた一因になったと指摘されている。

クアルコムがファーウェイからライセンスを取得

歴史的に無線通信業界で圧倒的な特許ライセンサーの立場にあったクアルコムが、かつて2020年に巨額の和解金を支払ったファーウェイに対し、今回はチップ構造などの知的財産をライセンスされる側に回ったという構造の変化は、半導体業界に大きな衝撃を与えている。このクロスライセンス契約の目玉となっているのが、ファーウェイが開発した独自の半導体製造技術「LogicFolding」をめぐる特許群のライセンス供与である。米国の制裁によってオランダのASMLホールディングなどが製造する極端紫外線(EUV)リソグラフィ装置へのアクセスを完全に絶たれたファーウェイは、その深刻な制約を補うために、トランジスタの微細化ではなくデータ伝送距離の短縮や垂直方向への回路の集積化に活路を求めた。

LogicFoldingはチップのロジック回路を複数層に分割して垂直に積み重ね、高密度な相互接続ネットワークで結ぶことで性能とトランジスタ密度の向上を図る3Dスタッキングアーキテクチャであり、同社によれば最初のLogicFolding採用チップでトランジスタ密度の大幅な向上を実現したとされる。

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写真:techtimes.com

この先端技術は、ファーウェイが社内で展開するAI向けの「昇騰(Ascend)」シリーズや、最新のフラッグシップスマートフォンに搭載された「Kirin 9050 Pro」などのアプリケーションプロセッサにも応用されており、中国市場における独自のAIエコシステムや次世代デバイスの競争力を根底から支える原動力となっている。一方で、アナリストからはこうした垂直統合型のパッケージング技術に対して、EDA(電子設計自動化)ツールの制約や製造歩留まり、さらに実際のトランジスタ密度や処理性能が最先端の標準プロセスと比較して同等と言えるかどうかについては、独立した機関による検証がまだ十分になされていないという慎重な見方も示されている。

世界的な半導体大手であるクアルコムがこの3Dチップアーキテクチャ関連の特許を正式にライセンスしたという事実そのものが、制約の中で生み出されたファーウェイの半導体製造技術の有効性を商業的に裏付けるものとして大きな意味を持っている。

クアルコムとファーウェイが包括的特許ライセンス契約を発表、規制当局の承認待ち
写真:en.sedaily.com

ファーウェイの特許ビジネスの拡大

通信業界における長年の基盤技術や4Gおよび5G規格への多大な貢献が認められた形であり、クアルコムとの今回の包括的な合意が完全に完了した暁には、ファーウェイがこれまでに締結したすべての特許ライセンス契約を合わせた累計の契約総額は69億ドル(約1兆880億円)を突破する見通しであることが示されている。

両社トップのコメントと規制上のハードル

両社の幹部は今回の提携についてそれぞれの立場からコメントを発表しており、その言葉の選び方には各社の狙いがにじむ。クアルコムの幹部は、今回の契約が同社の事業基盤を裏付けるものだと強調している。

米クアルコムと特許契約 ファーウェイ 「5G」関連【WBS】

クアルコムのジョン・ハン上級副社長は「この契約は、クアルコムの5G技術におけるリーダーシップと、5G標準必須特許(SEP)のライセンス事業の成功が業界で認められていることを改めて示す」と述べた。

ファーウェイのアラン・ファン最高知財責任者は「この契約は、ファーウェイのイノベーションの価値を示すだけでなく、現代の通信技術に対するクアルコムの根源的な貢献を認めるものでもある」と述べた。

クアルコムとファーウェイが包括的特許ライセンス契約を発表、規制当局の承認待ち
写真:techspot.com

両社は今回の包括的な契約が公正・合理的かつ非差別的(FRAND)の原則に完全に沿ったものであると説明しているものの、取引の実行にあたってはいくつかの重要な条件が残されている。金銭的な詳細条件や契約完了の具体的な時期については一切明らかにされておらず、米国企業であるクアルコムが制裁対象としてリストアップされている中国の巨大テック企業に対してAIやコンピュート関連の特許の対価を支払うという性質上、米国市場における競争上の健全性を審査する規制当局の動向が大きな焦点となっている。

具体的には、本件は米国連邦取引委員会(FTC)による審査の対象となり、売買金額が1億3390万ドルを超える企業買収や提携に適用されるハート・スコット・ロディノ独占禁止法改善法(HSR法)の枠組みに基づく精査を受けることになっており、規制当局による最終的な承認が得られるまでは正式な取引の完了を見送る形となっている。

本件は、知財のライセンス取引とハードウェアの輸出管理が異なる規制枠組みで運用されているという実態のもとで進められている。

執筆者について: nipponese

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