ウクライナ軍の長距離ドローンが、ロシア最大のオンライン小売業者であるワイルドベリシーズ(Wildberries)の主要倉庫を攻撃し、火災により施設が全焼した。タンボフ州の知事エフゲニー・ペルヴィショフ氏が水曜日に明らかにした。この施設はモスクワの南東に位置し、ウクライナ国境から数百キロメートル離れている。
タンボフ州知事によると、この物流センターは完全に破壊され、19歳の男性が脳震盪、49歳の女性が指の骨折という2名の負傷者が出た。ワイルドベリシーズ側も夜間のドローン攻撃と火災を認め、施設から避難を行ったことを確認している。
軍事転用への懸念と戦略的目標
ウクライナ側は、ワイルドベリシーズが販売する商品の中に、ロシア軍に使用される設備や技術部品が含まれていると主張している。ウクライナ国防省は、軍事転用可能な商品を保管するストレージセンターへの体系的な攻撃が、敵の物流を混乱させ、ロシア経済全体に悪影響を与えると述べている。
また、前線から遠く離れた場所に住むロシア国民に不安を与え、ロシア経済に打撃を与えることもウクライナの戦争目的の一つとなっている。ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキー氏は、ワイルドベリシーズのハブがドローン部品やナビゲーション機器などの軍事コンポーネントをロシア軍に提供していたと正当性を主張している。
激化する物流インフラへの攻撃
今回のタンボフ州の倉庫への攻撃は、5週間で2回目となる。同施設は7月18日にも攻撃を受けており、その際は7人が死亡していた。また、8月15日から16日の夜にかけては、モスクワ州ポドルスクにある同社最大の倉庫でもドローン攻撃による大規模火災が発生している。

ウクライナの攻撃対象は、ワイルドベリシーズからロシア第2位の小売業者であるオゾン(Ozon)へと拡大している。ウクライナ国防省は、ワイルドベリシーズの最大規模の物流ハブ15カ所を攻撃した後、次はオゾンの番であると述べた。オゾンは8月24日に倉庫がドローン攻撃を受けたと報告しており、これに伴いモスクワ取引所での同社株価は月曜日に30%近く急落した。
ロシア経済への影響と政府の対応
ウクライナ安全保障協力センターのデータによると、ワイルドベリシーズ、オゾン、ヤンデックス・マーケットの主要3社の合計収益は昨年末時点で約1,403億ドルに達し、これはロシアの国内総生産(GDP)の5%以上に相当する。

こうした執拗な攻撃を受け、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は月曜日、民間所有者がウクライナのドローン攻撃から重要インフラ施設を保護しない場合、または攻撃後の再建を行わない場合、国家が一時的に管理権を差し押さえることができるという政令を出した。分析によれば、この措置は企業に自前でセキュリティ費用を負担させ、損傷した資産を復旧させることを強制的に促す狙いがある。
広範な攻撃の展開
物流センター以外にも、ウクライナはロシア経済の根幹である石油施設を標的にしている。ウクライナ軍総参謀部は、ニジニ・ノヴゴロド州のルクオイル製油所を攻撃したと発表した。同施設は年間約1億2,500万バレルの処理能力を持つ。ニジニ・ノヴゴロド州のグレブ・ニキチン知事は、詳細を伏せつつも「工業施設」が被害を受けたことを認めた。
ロシア国防省は、15のロシア地域と併合したクリミア上空で、一晩に426機のウクライナ製ドローンを撃墜したと発表している。一方で、ロシア側も弾道ミサイルや巡航ミサイル、滑空爆弾などでウクライナを攻撃し続けており、チェルニヒウ州の住宅への攻撃で女性と4歳の子供が死亡したことが報告されている。
最近の主要攻撃事例

| 地域 | 対象施設 | 被害状況 |
|---|---|---|
| タンボフ州 | ワイルドベリシーズ物流センター | 施設全焼、2名負傷 |
| ニジニ・ノヴゴロド州 | ルクオイル製油所(工業施設) | 火災・損傷 |
| リペツク州 | 住宅 | 火災、2名死亡、2名負傷 |
| サマラ州 | オゾン物流センター | 火災、500名以上が避難 |