米国とイランの紛争は、ミサイルによる軍事衝突から、経済的封鎖の応酬へと移行しています。トランプ政権はイラン産原油の輸出を遮断する海上封鎖を強化し、イラン経済の破綻を狙う一方、イラン側はこれを「チキンゲーム」と見なし、国民の経済的苦痛を耐え忍ぶ持久戦で対抗しています。
海上封鎖と「経済的怒り」作戦の現状
米国による対イラン経済圧力は、新たな局面を迎えています。トランプ大統領は、イランの港湾への商業船の入港を阻止する海上封鎖を主導しており、4月13日以降、その包囲網は強化の一途をたどっています。米統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は、この海上封鎖がイランの港に出入りするすべての国籍の船舶に適用されると明言しました。
Iran bets economic pain will pressure Trump in game
ドナルド・トランプ米国大統領は、海上封鎖は非常に強力かつ効果的に機能しており、どの船舶も入港を検討しておらず、米海軍の防衛線を突破できる船舶は存在しないと述べました。
トランプ大統領は、イランへの経済キャンペーンを「前例のないもの」と表現し、イランに商業的または経済的支援を行う国々に対して厳しい結果が伴うと警告しています。財務長官のスコット・ベッセント氏は、自身のX(旧Twitter)への投稿で、「経済的怒り(Economic Fury)」キャンペーンが「数百億ドルの収益」をすでに遮断したと主張しました。同長官によると、このキャンペーンはイランのインフレを倍増させ、通貨の価値を大幅に減価させています。さらにベッセント氏は、イランの主要な石油輸出ターミナルであるハルク島が貯蔵容量の限界に近づいており、近い将来、生産削減を余儀なくされる可能性があると警告しました。同氏は、これがイラン政権に対して1日あたり約1億7000万ドルの追加的な収益損失をもたらす可能性があると述べています。
イラン経済への打撃と「チキンゲーム」の論理
Trump Iran Economic Pressure
専門家の間では、この封鎖がイランを早期に降伏させるか、あるいはイランが耐え抜くかについて意見が分かれました。かつて米国財務省で制裁キャンペーンの設計と監督を担当したミアド・マレキ氏は、トランプ政権の戦略について分析を続けています。一方、国際危機グループのシニアアナリスト兼イラン・プログラム・ディレクターであるアリ・ヴァエズ氏は、この状況を「チキンゲーム」と表現しました。
国際危機グループのイラン・プログラム・ディレクターであるアリ・ヴァエズ氏は、イラン側は相手よりも自分たちの方が持久力があると信じており、米国は当然ながらその正反対の確信を抱いているため、外交ルートが膠着状態に陥っていると指摘しました。
Duelling blockades test whether U.S. or Iran can better
トランプ大統領は、イランの石油輸出を遮断することで、イラン経済を追い込み、戦争を終結させるための米国の条件を強要できると考えています。しかし、イラン側はこれに対抗するため、紛争開始前から紛争地帯外の貯蔵タンクや沿岸の船舶に原油を貯蔵する対策を講じてきました。一部のアナリストやトランプ政権は、生産量を大幅に削減することはイランのインフラにリスクをもたらすと指摘していますが、イランは国内消費のニーズを満たしつつ、ブロックを回避するために陸路での石油輸送ルートを模索しています。

紛争の人的被害と軍事的背景
今回の封鎖は、米・イスラエルとイランの間で行われている2週間の停戦期間中も継続されています。この紛争は、イランで2,000人以上、湾岸諸国およびイスラエルで200人以上、そして米軍兵士13人の命を奪いました。また、イスラエルとイランの代理勢力であるヒズボラとの並行した戦争では、レバノンで2,100人以上が死亡しました。トランプ政権の当局者は、財務省が「経済的怒り」作戦を拡大し、石油、銀行、暗号資産、および秘密貿易ネットワークを横断して資金を生成・移動・送金するイランの能力を標的にしていると述べています。現在、米国政府内では、中国の銀行がイランの石油取引に関与していることを踏まえ、二次制裁の拡大や、米国の管轄下にあるイラン資産の没収などの選択肢が検討されています。

Cato研究所のダグ・バンドウ氏は、イランが「チキンゲーム」を仕掛けている背景には、戦争による世界的な経済的影響や、中間選挙を控えた共和党内の懸念が、最終的にトランプ大統領を譲歩させるだろうというイラン側の賭けがあると指摘しています。外交努力が停滞する中、米国とイランの双方にとって、どちらが先に経済的な限界を迎えるかという戦いが続いています。