イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のケイトリン・ブルーマー助教らが実施した調査により、北米におけるザリガニの最大サイズに関する新たな知見が明らかになった。ケンタッキー州での生物調査中に「クロージラ(Crawzilla)」と名付けられた巨大なザリガニを捕獲したブルーマー氏は、自身が史上最大の個体を記録したと確信していた。しかし、同僚との議論をきっかけに全米の博物館コレクションを対象とした大規模な調査へ発展し、ザリガニの成長限界を巡る科学的な探求が始まった。
全米規模の調査と最大個体の特定
ブルーマー氏と同僚らは、全米の博物館や専門家と協力し、巨大な標本をリストアップした。学術誌『Ecology』に掲載された研究報告によると、調査対象となったのは18種・20個体の巨大なザリガニである。この中で最大の個体として特定されたのは、ウェストバージニア州のウェストリバティー大学が所蔵する「テネシー・ボトルブラシ・ザリガニ」であった。この標本は、尾、ハサミ、触角を除いた状態で86.6ミリメートル(約3.4インチ)という大きさを記録した。
調査の結果、ブルーマー氏が捕獲した個体はランキングのトップには届かなかったものの、上位20個体の中にランクインした。同氏は「私の捕獲したものは最大ではありませんでしたが、上位20位に入りました。さらに、リストの中で唯一の穴掘り型ザリガニだったので、私の勝ちとします」と述べている。
成長限界を規定する要因の謎
今回の研究は、北米のザリガニにおける「上限サイズ」の目安を初めて提示するものとなった。データ分析を通じて、調査した個体の多くが約80ミリメートル付近で成長が止まる傾向にあることが判明した。研究チームは、この成長限界が緯度、酸素供給量、生息環境といった外部要因によるものか調査したが、明確な相関関係は見出せなかった。
この結果から、研究チームは環境要因よりも個体の生理的な制約が成長に影響している可能性を指摘している。特に、外骨格(硬い外殻)が体の成長を制限している可能性などが示唆されている。
今回の成果は、博物館に収蔵された長年の標本を活用することで、野外調査だけでは困難であった基礎的な生物学的疑問にアプローチできることを証明した。ザリガニは多くの人々にとって馴染み深い生物である一方、その最大サイズを決定する要因など、依然として解明されていない基本的な生物学的特性が多く残されている。研究チームは今後、ザリガニの生理学的メカニズムに焦点を当て、成長を制限する要因の特定を進める方針である。
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校による研究報告 科学ニュースサイトによる調査概要