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NIMS、原子スケールの段差が超伝導体の量子渦を導くレールとして機能することを発見

日本の物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、原子1個分の高さしかない階段状の構造が、超伝導体内の量子渦を導く「レール」として機能することを発見しました。

NIMS、原子スケールの段差が超伝導体の量子渦を導くレールとして機能することを発見

日本の物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、原子1個分の高さしかない階段状の構造が、超伝導体内の量子渦を導く「レール」として機能することを発見しました。2026年7月30日に発表されたこの研究成果は、超伝導技術における新たな制御手法を提示しています。.

原子スケールの段差が導く量子渦の制御

NIMSの国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)に所属する内橋隆氏が率いる研究チームは、表面に規則的な原子ステップを持つ超伝導体を調査しました。超伝導体内の量子渦は、その動きが材料の特性を大きく左右する量子物体です。これまで、二次元超伝導体における渦の方向制御は困難な課題とされてきました。研究チームは、走査型トンネル顕微鏡を用いて、原子レベルで表面の段差と渦の配置を直接観察しました。その結果、原子1個分の高さしかない段差が、量子渦を導くレールとして機能していることが明らかになりました。

実験では、渦が段差に対して垂直方向よりも、平行方向へ1,000倍以上も容易に移動するという極めて顕著な差が確認されました。この現象は、段差が量子渦の通り道となる優先的な経路を作り出していることを示しています。

NIMS、原子スケールの段差が超伝導体の量子渦を導くレールとして機能することを発見
写真:nims.go.jp

温度と磁場による動的な制御

この研究の重要な点は、渦の誘導効果を外部環境によって調整可能であるという点です。研究チームは、4端子法による電気抵抗測定を行い、温度や磁場の条件を変化させることで、渦の動きを精密に制御できることを実証しました。

「私たちの研究は、原子スケールの段差が超伝導渦を導く効果的なレールとして機能し、その誘導効果は温度や磁場を変えるだけで調整できることを示しています」

内橋隆,MANA研究チームリーダー

特に磁場が約0.10から0.20テスラ(T)の範囲では、渦はピン止め効果に妨げられることなく段差に沿って自由に流れ、一次元のピン止めフリーな渦流を形成しました。さらに最低温度域では、古典物理学では越えられないエネルギー障壁を量子物体が通過する「量子トンネル」が渦の運動を支配していることも判明しました。

次世代超伝導エレクトロニクスへの展望

今回の発見は、超伝導体の持つ「電気抵抗ゼロ」という特性を維持しつつ、量子渦の動きを制御することで、より高効率なデバイス開発への道を開くものです。渦の移動とそれに伴う熱流を管理することは、消費電力を抑えつつ情報処理能力を向上させる将来の技術において不可欠な要素となります。

この成果は学術誌『Physical Review B』に掲載されました。原子レベルの制御技術は、今後、エネルギー消費の少ない超伝導エレクトロニクスの実現に向けた新たなアプローチとして期待されており、渦の運動を自在に操ることで、熱流管理などを含む次世代の超伝導技術への応用が検討されています。

執筆者について: nipponese

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