イスラエルで27日に投開票された総選挙(定数120)は、開票率85.6%の段階でベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる右派リクードが26議席を獲得し、第1党を維持する見通しとなった。読売新聞オンラインによると、与野党いずれも過半数に届かず、政権樹立に向けた協議の難航が確実視されている。
リクードが第1党を維持、ネタニヤフ氏の続投へ
エルサレムの国際会議場に設けられたリクードの会場は、祝勝ムードに包まれた。支持者たちはネタニヤフ氏の愛称「ビビ」を呼び、「キングだ」と持ち上げた。28日午前3時過ぎに登壇したネタニヤフ氏は「リクードは最大の政党だ」と強調した。読売新聞オンラインの報道では、リクードは前回の32議席から減少するものの、第1党の座を確保する見込みだ。同党員のメイル・バル氏(39)は「派手な選挙戦をせず、地域ごとに右派に投票に行くよう呼びかけた」と振り返った。ネタニヤフ氏は選挙戦を通じ、敵対するイランの脅威を強く訴えていた。
中道野党陣営は過半数に届かず
一方、テルアビブの中道野党「ヤシャル」陣営の会場では、28日未明に野党優勢を伝える出口調査の結果が報じられ、一時期待が高まった。しかし、最終的な議席は伸び悩み、政権交代への道筋は見えていない。読売新聞オンラインによると、党首のガディ・アイゼンコット氏(66)は「国民は変化を選んだ」と述べていた。元軍参謀総長であるアイゼンコット氏は、その実直な人柄から社会の分断をまとめる人物として期待を集めたが、中道「ベヤハド」や民主党などとの共闘でも過半数には届かなかった。
アラブ系2政党が連立交渉の鍵を握る
今回の選挙でキャスティングボートを握るのが、過去最多の議席獲得が見込まれるアラブ系の2政党だ。読売新聞オンラインによると、人口の2割を占めるアラブ系住民の投票率は、居住区で約80%に達した。12議席程度を獲得する見込みの「統一リスト」のユーセフ・ジャバリン代表は、取材に対し次のように語った。

ガザでの戦闘やヨルダン川西岸での入植者の襲撃を受け、アラブ人は次は自分の集落が攻撃されると危機感を持ち、まとまった。
与野党ともに選挙戦ではアラブ政党との連立を否定していたが、過半数確保には彼らの協力が不可欠な情勢となっている。
政権樹立に向けた複雑な連立工作
今後の焦点は、ネタニヤフ氏による野党右派の切り崩しや、野党陣営によるアラブ系勢力との連携模索に移る。しかし、野党内部にもアラブ系との協力に対する根強い反対がある。読売新聞オンラインが伝える政治アナリストのタル・シュナイダー氏の指摘によれば、組閣交渉の長期化はネタニヤフ氏にとって暫定首相の地位を維持できる利点があり、対イラン軍事作戦を進める上で好都合な側面もある。過去には組閣失敗による再選挙の例もあり、新政権の樹立までには困難な道のりが予想される。

中東情勢とイスラエルの安全保障
JBpressは、今回の選挙の背景としてイスラエルの安全保障上の危機感を挙げている。特にイランの核武装に対する警戒感は強く、ネタニヤフ氏はイランへの攻撃姿勢を維持してきた。同誌によれば、イスラエルは周囲を敵に囲まれており、常にその存在が危機に瀕しているとの認識が政治の根底にある。選挙結果が今後の対外政策、特にイランやレバノンとの戦闘にどのような影響を与えるのか、国際社会からも注目が集まっている。依然として政権の枠組みは不透明であり、各党の駆け引きが続くことになる。