イエメンで政府軍がイランの支援を受けるフーシ派に対する大規模な軍事作戦を開始し、紛争が激化しています。フーシ派は紅海沿岸の拠点を掌握し、サウジアラビアの石油インフラを標的にした攻撃を継続。米国とイランの緊張も高まる中、停戦が崩壊したイエメンでは避難民が急増しています。
イエメン政府軍による紅海沿岸の奪還作戦
政府軍は、フーシ派が10年以上にわたり包囲を続けるタイズ周辺や、モカなどの沿岸都市に対して空爆を実施しています。国民抵抗軍などの政府側勢力は、直近4週間だけで500人以上の兵士が死亡したと報告しており、フーシ派側にもホデイダやタイズの州で1,000人以上の死者が出ていると主張しています。国連の推計によれば、9月以降の戦闘により8万人以上が避難を余儀なくされています。
フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃とエネルギー供給への影響
フーシ派はイエメン国内の戦闘に加え、サウジアラビアの領土内に対するドローンやミサイル攻撃を拡大しています。軍事報道官のヤヒヤ・サリー氏は、リヤドや首都から南東に150キロ離れたクライス地域にあるサウジアラビア国営石油会社アラムコの施設を標的にしたと主張しました。これに対し、サウジアラビアの民間防衛当局は、国境付近の紅海沿岸に飛来物が落下し、2名が負傷したほか、モスクや複数の建物が損傷したと報告しています。
この一連の攻撃は、紅海沿岸やホルムズ海峡を通るグローバルなエネルギー供給網に新たな緊張をもたらしました。中東のエネルギー供給が直接的な標的となることで、紛争が世界経済に与える影響が懸念されています。サウジアラビアは10年以上にわたり、首都サヌアから追放された政府を支援するアラブ連合を率いてフーシ派と戦い続けており、今回の事態は4年間の停戦が事実上崩壊したことを示しています。
ジブチの米軍基地と避難民の急増
フーシ派の進撃は、バブ・エル・マンデブ海峡を挟んで対岸に位置するジブチの米軍基地からわずか20マイル(約32キロメートル)の地点に迫っています。この地域はアフリカにおける米軍の主要拠点であるだけでなく、日本やフランス、中国などの外国軍基地も存在しており、国際的な軍事バランスの焦点となっています。国際移住機関(IOM)によると、危険な海路を渡ってジブチに到達したイエメン避難民はすでに2,000人を超えており、同国の経済・財務大臣も状況を注視しています。
イランと米国の対立と外交の行方
イランのアッバス・アラグチ外相は、テヘランは依然として外交的な解決を模索していると述べつつも、軍事的な対決にはより強力に応じると警告しました。アラグチ氏は 外交的手段を模索するならば、我々は紛争を終わらせるために公正かつ名誉ある解決策に達する準備ができている
と語っています。一方、米国中央軍(CENTCOM)は、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)による弾道ミサイル攻撃への報復として、イランの原油タンカー5隻を沈没させたと発表しました。ガザ地区での戦闘も継続しており、中東全域で緊張が連鎖する不安定な状況が続いています。