紅海沿岸の戦闘激化とサウジアラビアへの攻撃
2026年9月、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、サウジアラビア南部にある軍事基地に対してドローンとミサイルによる攻撃を実行したと発表しました。フーシ派の軍事報道官ヤヒヤ・サリエ准将はXへの投稿で、シャウララ基地にある「我が国と国民に対する侵略を管理している兵器庫、および指揮統制センター」を標的にしたと述べています。この動きは、イエメンの首都サヌアを掌握する同組織が、紅海沿岸の要衝モカ市や、ホルムズ海峡に代わる重要な航路であるバブルマンデブ海峡の島々を制圧する大規模攻勢に続くものです。
サウジアラビアの民間防衛当局は、イエメンとの国境付近にあるアル・タワル県で飛来物が落下し、2人が負傷したほかモスクや複数の建物が損害を受けたと明らかにしました。当局はこの攻撃についてフーシ派を非難しています。また、シャウララ県でもサイレンが鳴り響いたものの被害は報告されていないほか、日曜午後には南部のアブハーおよびハミス・ムシャイト州でも、住民に避難を促すサイレンが鳴らされました。
イエメン政府の対応と甚大な人的被害
サウジアラビアの支援を受けるイエメンの国際的に承認された政府にとって、フーシ派による急速な勢力拡大は痛手となっています。最高大統領評議会のメンバーであり、マアリブ州の知事でもあるスルタン・アル・アラダ氏は、モカ市および西海岸各地での政府軍の崩壊について次のように表現しました。
「痛ましく、遺憾なことだ」 スルタン・アル・アラダ、イエメン最高大統領評議会メンバー
同氏は、土曜夜に放送されたテレビのインタビューの中で、政府軍の部隊について「現在再編中であり、何らかの形で戦闘に復帰する」と述べ、紅海沿岸への部隊再派遣と反撃を誓いました。一方で、フーシ派の進撃から逃れる人々はAP通信に対し、政府軍が撤退し、人々に逃げるよう促していた様子を証言しています。
また、沿岸地域を統制していた政府系部隊「国民抵抗」によれば、8月9日以降の戦闘で約1500人が負傷し、過去4週間だけで西海岸における政府軍の戦闘員500人以上が死亡したとして、初の包括的な死者数を発表しました。一方で、ホデイダ州やタイズ州におけるフーシ派の死者も1000人を超えていると伝えられています。イエメン軍は日曜、タイズ地域のフーシ派の陣地や兵舎に対し3回の空爆を実施したほか、モカ市などのポジションを攻撃したと発表しました。
国際社会への影響と避難民の急増
戦闘の激化により、一般市民への影響も深刻化しています。国連の推計によると、9月上旬の戦闘開始以降、イエメン国内では8万6000人近くが家を追われ避難しています。ホデイダ州のハウカ町から深夜に避難したある女性は、「車やバスが燃え、子供や女性の遺体が道路に横たわっている恐ろしい光景を目の当たりにした」と証言しています。人口4000万人を超えるイエメンでは、かつて15万人が死亡し多くの人々を飢饉の瀬戸際に追い込んだ内戦への回帰が懸念されています。
軍事衝突の背景と今後の見通し
フーシ派は最近宣言した封鎖の一環として、サウジアラビアの石油インフラや船舶を標的にしています。ロイター通信は、フーシ派の紅海沿岸への進撃がイラン革命防衛隊の直接的な指導によるものだと報じました。一方、イラン側はフーシ派を同盟者と認めつつも、軍事的指揮については公に否定しています。また、日曜朝にはイランのケシュム島沖でイラン商船が攻撃され、1人が死亡、4人が負傷したと国営通信IRNAが報じ、ケシュム州知事は「テロリストの敵」を非難しました。

米国の関与を巡っては、サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がドナルド・トランプ米大統領に対し、先週2回にわたりフーシ派への攻撃を要請したものの拒否されたとAxiosが報じました。トランプ大統領は土曜にこの会話があったことを認めつつ、「すべてうまくいく(Everything’s gonna work out fine and dandy)」と記者団に語り、米国の具体的な行動については言及しませんでした。