アリゾナ州の民主党現職ケイティ・ホッブス知事は、2026年11月の知事選に向けた副知事候補として、元共和党員でメサ前市長のジョン・ジャイルズ氏を指名した。激戦州での再選を目指すホッブス氏は、超党派のチケットを掲げて保守層や無党派層の取り込みを図る。
アリゾナ州知事選で実現した異例の超党派チケット
アリゾナ州の民主党現職ケイティ・ホッブス知事は11日までに、同年11月の選挙に向けた副知事候補として、かつて共和党のメサ市長を務めたジョン・ジャイルズ氏を起用することを明らかにした。2022年の前回知事選挙で共和党のカリ・レイク氏を僅差で破り当選したホッブス氏は、全米で最も苦戦が予想される現職民主党知事の一人とされている。共和党が有権者登録数で優勢を広げる中、今回の指名は保守層や無党派層の支持獲得を狙った戦略的な一手といえる。
アリゾナ州では、2022年の住民投票で新設が承認された副知事のポストを、今回初めて知事選と同時に選出する。ホッブス氏とジャイルズ氏は共同のビデオ声明を発表し、党派を超えた協調の姿勢を強調した。
ケイティ・ホッブスアリゾナ州知事は、州の歴史で初めて知事と副知事を同一チケットで選出することになり、出馬パートナーに求める第一条件は、党派的な政治よりもアリゾナ州民を優先するという価値観を共有していることだったと述べた(NBC Newsの報道より)。
ジャイルズ氏は、かつて身を置いていた共和党の現状について強い懸念を示し、次のように語っている。
ジョン・ジャイルズメサ前市長は、過激主義者が物事を成し遂げる妨げになるべきではないと考えたため、生涯共和党員であったがその後無党派に転じたと語った(AP通信等の報道より)。
共和党から無党派へ:ジャイルズ氏の歩みと党内からの反発
長年共和党員だったジャイルズ氏は、アリゾナ州第3の都市であるメサの市長を2014年から2025年まで務めた実績を持つ。報道によると、同氏は今年5月17日に党籍を無党派に変更し、先月の民主党予備選挙で投票を行ったことが選挙人名簿で確認されている。ジャイルズ氏はアリゾナ民主党の知事選候補であるホッブス氏を2022年の選挙でも支持しており、2024年の大統領選では当時副大統領だった民主党のカマラ・ハリス氏を支持して民主党全国大会(DNC)で演説を行った。

一方で、共和党側からの反発は激しい。今回の知事選で共和党の指名を受けたアンディ・ビッグス下院議員の陣営は、ジャイルズ氏の起用を強く批判している。
ビッグス陣営は、民主党のケイティ・ホッブス氏が、民主党全国大会の演説者であり民主党予備選挙の投票者でもあるジョン・ジャイルズ氏を選出したことは、状況を注視していたアリゾナ州民にとって驚きではないとの声明を出した(FOX 10 Phoenixの報道より)。
ビッグス陣営は、ジャイルズ氏がバイデン政権の政策や連邦政府の支出、さらにはメサ市長時代のリベラルな条例などを支持してきたと指摘し、ホッブス陣営の動きを「混乱と無能の表れ」と断じている。なお、ビッグス氏は副知事候補に元州議会議員のシネ・カー氏を指名している。ビッグス氏は先月の共和党予備選挙で、デヴィッド・シュワイカート下院議員や実業家のスコット・ニーリー氏、ケン・ミセリ氏を破って党の指名権を獲得していた。
激戦州アリゾナにおける選挙情勢と今後の焦点
ホッブス陣営は、減税や国境警備の強化、治安維持などの実績をアピールしている。激戦州とされるアリゾナ州は、2016年と2024年の大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、2020年にはジョー・バイデン氏が制した歴史を持つ。非党派の予測機関である「ザ・クック・ポリティカル・レポート」は、今回の知事選について、激戦州において民主党がやや優勢であると評価している。

かつて共和党の強い基盤であったメサ市を10年にわたり率い、トランプ氏に対する批判を続けてきたジャイルズ氏の離党と今回の超党派出馬は、保守層や政治的中道派の有権者の投票行動に大きな影響を与える可能性がある。ジャイルズ氏自身がAP通信のインタビューで語ったように、「ジョン・マケインの共和党はもはや過去のものとなり、残されたものに対して我々は何も借りはない」というメッセージが、激戦州の選挙戦の行方を左右する重要な焦点となっている。