パリの象徴であるエッフェル塔を運営するSETEは29日、2018年から総支配人を務めてきたパトリック・ブランコ・ルイヴォ最高経営責任者(CEO)が年末をもって退任すると発表した。今月初めに起きたヒンドゥー教団体訪問時の運営上の不備と女性職員の排除をめぐり、内部調査の結果を受けた責任を取る形となった。一連の対応に対しては、職員組合のストライキや政治家からの批判が相次いでいた。
パトリック・ブランコ・ルイヴォCEOの年末退任と運営上の不備
SETEの発表によると、内部調査によってヒンドゥー教団体が訪問した際の「運営上の不備」が明るみに出た。これが女性職員の排除という「容認できない」対応を引き起こしたと指摘されている。今月初め、エッフェル塔にはヒンドゥー教団体「ボチャサンワシ・アクシャル・プルショッタム・スワミナラヤン・サンスタ(BAPS)」に関連する約100人が訪れていた。その際、女性職員が男性職員へと急きょ交代させられていたことが判明している。
厳格な男女分離の教義を持つヒンドゥー教団体BAPSの訪問
18世紀にさかのぼる教義に基づき活動するBAPSは、男女の厳密な分離を信条としている。寺院での活動や建物の入り口などでもその原則を徹底してきた。SETEの説明では、今回の訪問時に対応が問題視された背景として、ヒンドゥー教団体側から「女性との交流」が制限されるよう強く求められていたことが挙げられている。同社は「こうした条件は受け入れるべきではなかった」と公式に認め、判断の誤りを釈明した。
女性職員への不当な扱いと現場で起きた労働者のストライキ
現場で何が起きていたのか。職員組合の代表者は、女性職員たちが自身の持ち場を離れるよう求められ、「屈辱」を感じたと証言している。別の職員らの証言によれば、代表団が滞在している間は特定のエリアを通ったり横切ったりしないよう具体的な指示が出されていた。こうした不条理な扱いに怒った職員らがストライキに踏み切ったことで、観光名所であるエッフェル塔は一時的に閉鎖へと追い込まれた。
フランス政界からの厳しい非難とパリ市による二種類の調査
この不祥事はフランスの政治家らをも巻き込む大きな問題へと発展した。国民議会のヤエル・ブロン=ピヴェ議長は、外国人観光客の要求を満たすために女性たちが脇に退かざるを得ない状況について、「断じて許さない」と強く非難した。また、パリのエマニュエル・グレゴワール市長は、今回の判断を「不条理、不当かつ容認できない判断」と断じ、直ちに2種類の異なる調査を命じた。SETEのアリエル・ウェイル会長は29日、ジェンダー平等を促進する具体的な措置や研修の実施を求めたと明かしている。
世界各地に広がるBAPSの活動と現代社会における宗教的慣習の衝突
BAPSはロンドンや米ロサンゼルス、シドニーなど世界各地の主要都市に寺院を擁する組織である。18世紀後半の苦行僧でありスワミナラヤンの教えを信仰の基盤としている。BAPS側は今月初め、「苦痛や不便を招いた」ことについて謝罪し、「私たちは互いを尊重して奉仕するという、普遍的な価値観を信じている」と表明した。団体側は男女分離について女性の利益のためだと主張しているが、批判的な人々は、18世紀の古い考え方は現代社会にそぐわず、宗教的慣習を口実にした女性排除は差別的であると指摘し続けている。
リーダーシップ移行に向けた今後の見通しと組織の改革
運営会社SETEは、今後数カ月間をかけて可能な限り最良の条件下でリーダーシップの移行に向けた準備を進める方針を示している。パトリック・ブランコ・ルイヴォCEOの退任を契機に、組織体制の立て直しが急務となっている。ジェンダー平等を推進する措置や研修がどのように現場へ浸透していくのか、そして歴史的な観光地における公正な運営ルールが再び揺るがずに守られるのかが、今後の大きな焦点となる。