インドネシア西ジャワ州のチビノン刑務所で23日に実施された抜き打ち検査により、敷地内から約300メートル離れた場所に受刑者が利用していた10棟超の豪華な住宅群が存在することが判明した。独立国家機関のオンブズマンによる確認で明らかになったもので、室内には冷蔵庫や寝室、台所が備わり、周辺にはジム、高級車、ゴルフシミュレーターとみられる設備まで確認されている。
チビノン刑務所の敷地外で発覚した住宅群の全貌
オンブズマンが受刑者の居住棟への立ち入りを拒否されたことをきっかけに周辺を捜索したところ、刑務所から約300メートル離れた場所に広がる住宅群を発見した。オンブズマンのヤシン委員は地元誌テンポの取材に対し、「立派な家ばかりだ」と現地の状況を語っている。この区域では、国営錫会社PTティマを巡る汚職事件で禁錮10年の判決を受け服役中の受刑者2人の居住が確認された。矯正総局の内部調査では、ある住宅の冷蔵庫からウイスキー3本とビール1本も見つかっている。
矯正当局と刑務所側の説明と食い違う主張
刑務所側は「受刑者向けの豪華住宅」という見方を否定している。住宅は職員用であり、該当する受刑者2人は社会復帰プログラムのための区域にいただけだと説明した。ゴルフシミュレーターとみられた設備についても、ロッカー施設を造っていたものだと主張している。しかし、矯正当局の発表によると、住宅は計16棟に及び、そのうち13棟が国有資産として登録されていなかった。英字紙ジャカルタ・ポストは、特別待遇の見返りとして金銭が支払われた疑いもあると報じている。

インドネシアの刑務所に根深く巣食う特別待遇の問題
インドネシア国内では、富裕層や有力者の受刑者に対する特別待遇が以前から問題視されてきた。スハルト元大統領の三男トミー氏が最高裁判事殺害事件で服役していた2000年代前半、ジャカルタの刑務所でエアコン付きの専用房を使用し、自由に面会やビジネスを続けていたことが報じられた過去がある。さらに、今回と同じチビノン刑務所でも2019年に汚職事件の受刑者向け区画で豪華設備が見つかるなど、同様の不正が繰り返されてきた背景がある。
アグス入管・矯正相が指摘する獄中の「王国」
相次ぐ不祥事の背景には、矯正施設内の構造的な問題がある。アグス・アンドリアント入管・矯正相は24年12月に掲載されたテンポのインタビューで、「刑務所の中には『王国』がある」と述べ、施設内で一部の受刑者が特権的な環境を享受している実態を認めていた。今回のチビノン刑務所における隠し住宅群の発見は、そうした構造的弊害が現在も根強く残っていることを改めて浮き彫りにしている。
今後の厳正な処分と再発防止に向けた動き
未登録の国有資産や受刑者への不正な便宜供与をめぐり、今後は関係者の処分や施設管理の透明化に向けた圧力が強まるとみられる。当局による一連の内部調査やオンブズマンの追及が、長年指摘されてきた刑務所内の特権構造をどこまで解体できるのか、その対応が厳しく問われている。