米連邦最高裁判所は、ホワイトハウスにおける新しい州賓客用舞踏室(ステート・ボールルーム)の建設をめぐる法廷闘争において、トランプ政権側を支持する裁定を下した。5対4の評決により、下級裁判所が命じていた工事停止措置は解除され、建設の継続が認められた。この決定は、8月21日にジョン・ロバーツ最高裁長官が下した一時的な執行停止命令に続くものである。
最高裁による緊急決定と工事継続の判断
今回の決定は、建設の適法性そのものに踏み込むものではない。最高裁は署名のない決定文の中で、原告である「全米歴史保存トラスト(National Trust for Historic Preservation)」が、連邦裁判所でこのプロジェクトに異議を唱えるための法的な「原告適格」を有していない可能性が高いと判断した。
「本日、我々は政府のイーストウィング・プロジェクトの適法性について判断を下すものではない。我々は、提出された書類に基づき、政府がトラスト側には連邦裁判所でこのプロジェクトに異議を唱える原告適格がないことを立証する可能性が高いと結論付けるのみである」 米連邦最高裁判所、決定文より
ロバーツ長官とリベラル派判事による反対意見
一方で、ロバーツ長官は裁判所の3人のリベラル派判事とともにこの決定に反対した。長官は、建設がすでに長期にわたって進められている現状を指摘し、その違法性を主張している。
「舞踏室の建設は1年近くにわたって急速に進められてきた。その建設はおそらく違法である」 ジョン・ロバーツ最高裁長官、反対意見書より
今回の訴訟におけるトラスト側の原告適格は、組織の理事でありワシントン在住の歴史保存活動家、アリソン・ホーグランド氏の宣言に基づいている。ホーグランド氏は、ホワイトハウスの近くを日常的に歩く中で、計画されている舞踏室の規模や形態により「専門的および個人的な被害、とりわけ私の美的、文化的、歴史的関心に対する被害を被る」と主張していた。これに対し、最高裁の多数派は、「単なる不快感、意見の相違、あるいは嫌悪感は、法律上の具体的かつ個別的な損害には当たらない」と反論した。ロバーツ長官は反対意見の中で、ホーグランド氏は歴史保存活動家として、頻繁に享受している歴史的建造物が変貌することに対し、「具体的かつ個別的な形で美的被害を受けている」と認め、原告適格を支持する姿勢を示した。
4億ドルの建設プロジェクトと法的争点
この訴訟は、トランプ政権がホワイトハウスのイーストウィングを取り壊し、新しい州賓客用舞踏室を建設する計画をめぐって起こされた。法廷資料によると、8月24日時点で建設は65%完了しており、250人の作業員が週7日、1日20時間体制で工事にあたっている。ホワイトハウス側は、この4億ドルのプロジェクトは全額民間の寄付で賄われるとしているが、この主張は広く疑問視されており、すでにシークレットサービス(大統領警護隊)の予算が警備強化のために投じられている。

トラスト側は、ワシントンD.C.の連邦有地における建設には連邦法に基づき「議会の明示的な権限」が必要であると主張してきた。対してトランプ政権側は、連邦法の他の条項がホワイトハウス敷地内での改善工事を行う権限を大統領に与えていると反論している。計画には、警備上の必要性を理由としたセキュアな施設や医療施設を含む大規模な地下構造物も含まれている。
連邦地方裁判所は当初、地下工事の継続は認めたものの、舞踏室本体の工事は訴訟継続中に行うべきではないとの判断を下していた。その後、8月7日に米連邦控訴裁判所(DC巡回区)もこの判断を支持したが、今回の最高裁決定により、工事は無期限で継続されることとなった。