ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2026年8月24日、ウクライナからのドローン攻撃に対する防護や復旧を行わない場合、政府が重要インフラの管理権を一時的に接収できる大統領令に署名した。度重なる長距離攻撃による経済的圧力が高まる中、エネルギーや物流施設などの安全対策強化を民間企業に迫る狙いがある。
ウクライナ軍のドローン攻撃激化とロシア国内のインフラ被害
直近の被害として、ウクライナ軍参謀本部は2026年8月25日、ロシア南部クラスノダール地方にあるアフィプスキー製油所の施設を夜間に攻撃し、火災を発生させたと発表した。クラスノダールのヴェニアミン・コンドラチエフ知事も、町内の製油所で火災が起きたことを確認している。また同日、ロストフ地方のウーリ、スリュサル知事は、ロシア南部ロストフ州のノヴォシャフチンスク製油所がウクライナの攻撃を受けて損傷し、稼働が停止したと明らかにしている。
インフラ接収令の狙いとロシア政府高官の弁明
2026年8月27日の週の初めに発表されたこの大統領令は、エネルギーや燃料インフラだけでなく、産業、通信、交通、物流施設などのさまざまなセクターに適用される。ドミトリー・ペスコフ・クレムリン報道官は、民間経営者たちが対ドローン安全対策に十分な注意を払っていないと指摘した。

ドミトリー・ペスコフ・クレムリン報道官は、ビジネスオーナーが安全対策、とりわけドローンに対する安全対策を講じることに十分な注意を払っていないことがよくあると述べた。
ペスコフ報道官は、重要な経済インフラに対するドローンの脅威を踏まえ、自らの安全を確保するための措置を講じなければならないと強調した。一方で、デニス・マンツロフ副首相は、この大統領令が企業の国有化や所有権の変更を意味するものではなく、特定の安全保障上の問題を解決するために国家が企業の経営に関与するものだと説明している。マンツロフ副首相によれば、このメカニズムは広範な使用を意図したものではなく、最高レベルで慎重に検討された上で標的を絞った決定が下されるという。
経営陣への最後通牒と石油精製施設の修復問題
元プーチン大統領のスピーチライターであり、現在は政治アナリストとして活動するアッバス・ガリャモフ氏は、この措置が複数回被弾した石油精製施設の所有者に修復工事を強制するための戦術的なステップであるとの見方を示している。
ガリャモフ氏は、同じ製油所がすでに3回から5回も攻撃を受けていれば、所有者が破壊された部分の復旧投資に消極的になるのも当然だと指摘し、「明日また攻撃されるかもしれないのに、なぜ何十億も費やすのか」とテレグラム上で疑問を呈した。その上で、政府は企業に対して「精製所の復旧に資金を出さないなら、あなたたちからそれを奪う」という最後通牒を突きつけていると分析している。