英ヘンリー王子が、アフリカの野生動物保護チャリティ組織「アフリカ・パークス」の取締役を辞任した。同組織のレンジャーによる人権侵害問題が発覚したことを受けたもので、組織側はガバナンス刷新の一環であると発表している。
アフリカ・パークスでの人権侵害と組織の対応
英ヘンリー王子は、コンゴ共和国のオザラ=ココア国立公園をめぐる一連の不祥事を受け、同公園を管理する環境保護団体「アフリカ・パークス」の取締役会を離れることになった。王子の代理人は、同氏がもはや同組織の信託管理人(トラステイー)ではないことを認めている。
この問題は、現地に暮らす先住民族バカ族のコミュニティメンバーから寄せられた告発を発端としている。独立系法律事務所オムニア・ストラテジーによる調査を経て、組織側は昨年に人権侵害の発生を事実として認めた。報道によれば、現地で雇用されたレンジャーによる暴行や拷問、性的暴行などの深刻な被害が指摘されていた。
組織側は、外部からの調査結果を受けて経営計画や制度の改善を進めてきた。2025年には、公園内および組織全体でのセーフガード体制や身元確認プロセスを大幅に強化したと発表している。
先住民族の権利団体による辞任要求と組織のガバナンス刷新
先住民族の権利を支援する国際的な人権団体「サバイバル・インターナショナル」は、一連の発覚を受けてヘンリー王子に対してボードメンバーからの辞任を強く求めていた。同団体の通信ディレクターであるジョナサン・マゾワーは、組織の運営体制について抜本的な変更がなされない限り、関係者は身を引くべきだと主張していた。


一方で、チャリティ組織側は今回の人事について、解任ではなく10年にわたる任期の一区切りとして、取締役会の「ガバナンス刷新」の一環であると説明している。
「アフリカ・パークスは、一部の事件において人権侵害が発生したことを認め、これらが被害者にもたらした苦しみと痛みを深く後悔しています」 アフリカ・パークス、公式声明(BBCによる報道)
組織はまた、ヘンリー王子が過去10年間にわたりアフリカにおける生物多様性の保護や保全のための寄付文化の推進に果たした役割を高く評価している。王子の代理人は、同氏が今後も組織の掲げる使命に対する強い支持を維持し続ける姿勢を強調した。
10年の関与の歴史と今後の活動への影響
ヘンリー王子と「アフリカ・パークス」の関わりは、2016年7月にマラウイで行われた歴史的な大規模ゾウ移動プロジェクトに遡る。その後、6年間にわたって同組織の総裁を務めた後、2023年には正式に取締役会のメンバーに加わっていた。
王子の代理人が発表した声明によれば、同氏は同組織での10年の活動に誇りを持っており、取締役会の継続的な体制強化を全面支持している。現地メディアの報道によると、今回の発表は、ヘンリー王子夫妻が子どもたちと共に米国カリフォルニア州から英国へ数日以内に帰国し、長期滞在を予定している時期と重なっている。
組織側は、ジャスティス・アイザック・レナオラとアリス・ルウェザの新理事2名の起用も同時に発表しており、新体制への移行は9月30日の取締役会で正式に効力を生じることになっている。