アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃が約6カ月に及ぶ中、トランプ米政権はイラン経済を完全に締め付ける大規模な制裁発動を発表した。通貨リアルが過去最安値を更新し国内の物価高騰や生活苦が深刻化する一方、イラン指導部はこれまでの圧力に耐えてきたとして強硬な対抗姿勢を示している。
スコット・ベッセント財務長官による新たな経済制裁
米国とイスラエルによる軍事衝突が始まってからおよそ6カ月が経過する中、トランプ政権はイランに対する新たな金融制裁に踏み切った。スコット・ベッセント財務長官は24日月曜日、イランの残された金融の生命線を断つことを目的とした新たな経済制裁を明らかにするとともに、これを「歴史上最大の金融攻勢」と位置づけた。トランプ大統領は自身のソーシャルネットワーク上で、イランが「完全に崩壊しつつある」と主張し、同国を経済的に追い詰める方針を強調している。
通貨リアルの急落と国内に広がる経済的打撃
月曜日、イランの通貨リアルは対ドルで過去最安値となる202万リアルまで下落した。日曜日にもリアルは最安値を更新しており、数カ月に及ぶ紛争を終結に導くため、トランプ大統領が「経済版Dデー」と呼ぶ圧力が展開されている。国際通貨基金(IMF)の予測では、今年のイラン経済は5.5%近く、あるいは5%以上縮小し、インフレ率は70%近くに達すると見込まれている。
こうした急激なインフレと通貨のさらなる崩壊は、家計をこれまでにないほど強く圧迫している。イラン国内では燃料価格が高騰しており、2019年や今年早々に発生した全国的な抗議デモの前兆となった状況に酷似している。アメリカによる海軍の海上封鎖により、最大の輸出品である石油の輸出も極めて困難な状況に陥っている。
モハンマド・アッバース・アラグチ外相の批判
トランプ政権の狙いとイラン指導部の反応

トランプ大統領は、戦争を終結させるための合意における2大優先事項として、イランが二度と核兵器を開発しないことの保証と、世界のエネルギー供給の極めて重要なルートであるホルムズ海峡における商業船舶の自由な航行の確保を挙げている。トランプ政権が「経済版Dデー」や空前の規模の経済戦争を押し進める背景には、数カ月に迫った、与党・共和党が議会の過半数を維持できるかが決まる重要な中間選挙を前に、なかなか終わらせられない戦争が不人気さを増しているという厳しい現実がある。
これに対し、イランのモハンマド・アッバース・アラグチ外相は金曜日に自身のX(旧ツイッター)に投稿し、「オバマ政権時代に課された過酷な制裁から、トランプ政権1期目の最大限の圧力キャンペーン、そして今回の最新の制裁に至るまで、これは繰り返しのシナリオだ」と批判した。「これらすべての措置は異なる肩書の下で導入されているが、私たちがアメリカの政策において常に目にしてきたのと同じいじめの形態を表している。言い換えれば、これは彼らが何度も何度も流し続ける同じ映画だ。私たちはこの映画を知っているからこそ、それにどう立ち向かい、どう対処すべきかを知っている」と述べた。
アフマド・レザ・ラダン准将の警告
イラン国内の治安体制と今後の見通し

イラン国内では、さらなる経済危機が国家の存続を脅かす要因となっている。イラン国家警察長官のアフマド・レザ・ラダン准将は月曜日、敵対勢力が経済的・社会的不満を利用して国中での動揺を引き起こそうとしていると警告した。「敵は国内の一部あるいは国中での動揺を作り出そうとしており、暮らし、ガソリン、経済、失業など、多くの口実が存在する」とラダン長官は述べている。過去の経済的ショックはテヘランの政権に対する大規模な抗議活動を引き起こし、それらは国家の暴力によって抑え込まれてきたが、治安部隊は今のところ結束を維持している。

また、米トランプ政権とイランの間では、今年6月に署名された覚書を巡る動きもあった。イラン大統領は日曜日、広範な和平合意を交渉するための60日間の期限を定めたこの覚書が、戦争を終わらせるための最良の道であり続けるとの考えを示したが、期限切れに伴い双方は合意が破綻したと宣言している。一方で、イランとオマーンの間では、ホルムズ海峡を通る商業海運交通の新しい管理システムを巡る協議が数週間にわたって続けられており、火曜日にも継続される予定である。
ベッセント財務長官のインタビュー
ベッセント財務長官は木曜日のCNBCのインタビューや、「フィナンシャル・タイムズ」紙への寄稿などを通じ、イランに資金の流れを提供している企業だけでなく、それを主催する国や政府に対してもさらなる圧力をかける方針を明らかにした。ベッセントは、「我々の目的は、テヘランが孤立するまで、暴政体制を支えるあらゆる経済的生命線を断つことである」と記し、イランと取引を続ける中国などの国々に対して結果を考慮するよう求めている。中国は歴史的にイランの石油の約90パーセントを購入してきた同国最大の顧客である。