世界各国の元国際クリケット主将21人が、パキスタンのシェバズ・シャリフ首相宛ての書簡を通じ、収監されている同国のイムラン・ハン元首相に対する適切な医療ケアと人道的な処遇を改めて求めたことが明らかになった。AP通信やアルジャジーラなどが報じた。
世界各国の元クリケット主将21人がパキスタン政府に医療評価を要請
最高裁判所の命令と病院での検査を巡る対立
今回の書簡送付の背景には、イムラン・ハン元首相の医療検査を巡る一連の経緯がある。パキスタン最高裁判所は、ハン元首相を病院へ移送し、個人の主治医や実妹であるウズマ・ハン医師を含む医療ボードによる検査を受けさせるよう命令していた。AP通信の報道によると、最高裁はまた、週一回の家族面会も再開させるよう命じていた。
しかし、ハン元首相の病院滞在はわずか数時間にとどまり、最高裁が指示したボードではなく国が任命したチームによって検査が行われた後、「医学的に健康(100% medically fit)」と判断されてラワルピンディのアディアラ刑務所に送り返された。AP通信やNBCニュースによると、政府側は、当初予定されていたイスラマাবাদেরの私立シファ・インターナショナル病院への移動について、支持者らが周辺に集まったことによる治安上の理由から、国立のパキスタン医科学研究所(PIMS)で検査を実施したと説明している。これに対し、ハン元首相の弁護団や政党であるパキスタン正義運動(PTI)側は反発し、 contempt petition(法廷侮辱の申し立て)を行っている。
元主将らが政府に求めた3つの要求
署名を行った21人の元主将らは、パキスタンの国内法的手続や政治的対立について判断を下す立場にはないとする一方で、スポーツの場で培った絆に基づき、以下の3点を政府に求めている。

- 最高裁判所が指示した、ハン元首相自身の医師を含む医療ボードに、健康状態(特に右目の視力低下の懸念)に関する完全かつ独立した評価を実施させること。
- 裁判所によって再開された週一回の家族面会を、中断や行政上の遅れなく尊重すること。
- 医療評価の結果いかんに関わらず、推奨された治療を遅滞なく提供すること。
ザ・ヒンドゥーに掲載された書簡の中で、元主将らはハン元首相が73歳であり、3年以上拘束されていることに触れ、「裁判所が命じた医療プロセスが確実に完了するという基本的な良識は、論争の的になるべきではない」と訴えている。
主な署名者の顔ぶれと政治的立場を超えた訴え
今回の書簡には、世界各国のそうそうたる元クリケット主将が名を連ねており、インドからはスニリル・ガヴァスカール、カピル・デヴ、ディリップ・ヴェングサルカルの3氏が参加している。アルジャジーラによると、スリランカのアルジュナ・ラナトゥンガ氏のほか、イギリスからはマイケル・アザートン、ナセル・ハッサインの各氏、オーストラリアからはアラン・ボーダー、グレッグ・チャペル、イアン・チャペル、スティーヴ・ウォーの各氏らが含まれている。なお、署名者にパキスタン出身の元選手は含まれていない。

インドの元主将であるカピル・デヴ氏は、NDTVの取材に対し、「私たちは彼が行ったことの善悪ではなく、基本的な健康と処遇にのみ関心がある」と述べ、スポーツマンとしての仲間意識から人道的な扱いを求めていると強調した。インディアタイムズの報道によれば、同氏は法律が定める手続きとは別に、元首相としての最低限の施設や医療環境が整えられるべきだと訴えている。