米国のシリア担当特使兼トルコ大使であるトム・バラック氏は、自身が先週行ったゴラン高原に関する発言を撤回し、同地域に対する米国の政策に変更はないことを改めて表明した。バラック氏は日曜日、声明を通じて「ゴラン高原に関する米国の政策は2019年にドナルド・トランプ大統領によって策定されたものであり、不変である」と強調した。
ゴラン高原を巡る特使の発言、公式見解との乖離を修正
事の発端は、バラック氏が金曜日にレバノン系オーストラリア人の実業家マリオ・ナウファル氏とのインタビューに応じた際の発言であった。同インタビューの中で、バラック氏はイスラエルが「依然として」ゴラン高原を占領しており、それが国連決議や国際秩序に反するとの見解を示唆していた。この発言は、イスラエルによる同地域の主権を認めたトランプ大統領の政策方針に反するものであり、ワシントン政権内や保守層から強い批判を浴びた。
「歴史的状況の説明」と釈明
批判を受け、バラック氏は日曜日、自身の発言は「国連の立場を支持したものではない」と弁明した。同氏によれば、当時の発言はあくまでゴラン高原の歴史的状況を説明しようとしたものであり、レバノン南部での軍事占領の文脈において「武力で奪取された領土は何世代にもわたって争いの対象であり続ける」という例を挙げたに過ぎないという。
バラック氏は、レバノンでの交渉プロセスについて触れ、領土的な地図よりも合意による解決の方が持続的であるとの論理を展開する中で、ゴラン高原をその例として引用したと説明した。
政界からの反発と外交的波紋
バラック氏の発言に対し、共和党のリック・スコット上院議員はSNSを通じて、大使がトランプ大統領によるイスラエルの主権承認という重要な政策方針を「忘れている」と厳しく批判した。また、一部の保守系論客からは、同氏の外交政策への理解不足を理由に辞任を求める声も上がった。

今回の騒動は、トランプ政権が2019年にゴラン高原に対するイスラエルの主権を承認して以来、米国の外交政策が大きく転換したことを改めて浮き彫りにした。それまで国際社会の多くは、1967年の戦争でイスラエルが占領し、1981年に併合したゴラン高原について、シリア領土の占領地であると見なしてきた。現在、この政策を支持している国は限られており、コロンビアの右派政権などがその数少ない例となっている。
レバノン交渉と地域情勢への言及
バラック氏はゴラン高原の件に加え、イスラエルとレバノン間の交渉に関連した発言についても釈明を行った。インタビューの中で同氏が「交渉のテーブルにヒズボラとイランが欠けている」と述べたことが、両者の交渉参加を促す提案ではないかと臆測を呼んでいた。

これに対し、バラック氏は日曜日、「米国はヒズボラとは交渉しない」と明言し、自身の発言は「武器がイランから供給・融資されているという現実が、交渉を複雑にしている」という困難な状況を説明したものに過ぎないと補足した。また、同氏はイスラエルによるシリアの空軍基地への空爆に関しても言及しており、これがトルコとの緊張を高めているとの見方を示していた。イスラエル国防省は、これらの空爆について「明確なインテリジェンス」に基づいた軍の推奨によるものだとし、正当性を主張している。