世界保健機関(WHO)は、コンゴ民主共和国(DRC)で発生しているエボラ出血熱の流行が、5月中旬の公式発表よりも数カ月早い2月に始まっていたことを明らかにしました。WHOのアフリカ地域局長であるモハメド・ヤクブ・ジャナビ博士は記者会見で、ゲノム解析の結果から流行の開始時期が判明したと述べ、初期の症例の一部がマラリアやチフスと誤認されていたことを指摘しました。
WHO、コンゴのエボラ流行は公式発表の数カ月前に始まっていたと発表
ジャナビ博士は、現状についてウイルスを追いかけているが、ウイルスの方が我々より先に進んでいると述べ、対応が後手に回っている状況を強調しました。
記録的な感染拡大の速度と被害
今回の流行は、過去に記録されたどのエボラ流行よりも速いペースで死者数が増加しています。政府の最新データによると、確認された感染者は4,200人に達し、死者は1,900人を超えています。これは、2万8,000人以上の感染者と1万1,000人以上の死者を出した史上最悪の2014年から2016年の西アフリカでの流行をも上回る拡大速度です。当時の流行では、死者が1,000人に達するまで約8カ月を要していました。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、キンシャサの当局者と会談後、X(旧ツイッター)にて、一部のホットスポットでは新規症例数が倍増しており、エボラは対策を上回る速さで拡大していると述べています。保健当局は、新規症例の60%から70%が監視対象となっていない接触者の間で記録されており、流行は驚くべき速さで広がっているとしています。
対応を困難にする要因とウイルスの特性
今回の流行が特に深刻なのは、原因となっているのが希少なブンディブギョウイルスであるためです。このウイルスには承認されたワクチンや治療法が存在しません。また、初期の検査がより一般的なタイプのエボラウイルスに対して行われていたことが、検知の遅れにつながりました。

現場では、以下のような極めて困難な状況が対応を妨げています:
- 医療体制の崩壊: 無給の医療従事者によるストライキや、反政府武装勢力による脅迫が発生している。
- インフラと物資の不足: 未舗装の遠隔地への移動や、防護具の不足に直面している。また、避難民の多くが手洗いのための信頼できる水源を確保できずにいる。
- 社会的な障壁: エボラは実在しないという誤情報や、過去のトラウマによるコミュニティの怒りが広がっている。ウイルスへの恐怖から、妊婦などが医療センターへの訪問を避けるケースも出ている。
地域的な影響と国際的な支援
流行は南スーダン、ウガンダ、ルワンダとの国境に近い、コンゴで最も遠隔で脆弱な地域で展開しています。特にイトゥリ州がDRC国内の確認症例の約90%を占めており、ブニア、ルワンパラ、モンブガルの各保健区が甚大な影響を受けています。

2026年8月4日時点のDRCの報告では、確認症例数3,973人、死者数1,801人、回復者数776人となっており、51の保健区に広がっています。直近24時間の報告では、新規に99人の感染と52人の死亡が記録されました。接触者の追跡率は75%にとどまり、伝播経路を迅速に特定するために必要とされる運用目標の95%を下回っています。また、北キブ州の治療センターの占有率は139%に達し、病床や医療従事者に深刻な負荷がかかっています。
これを受け、WHOとアフリカ疾病対策予防センター(Africa CDC)は、コミュニティ主導の対応を緊急に拡大するよう呼びかけました。両機関は、早期検知、接触者の追跡、医療へのアクセス改善、および最前線の医療従事者への支援を強化する必要性を訴えています。