Paramountによる1110億ドルのWarner Bros. Discovery買収計画を巡り、英国政府による承認とそれに伴う「主要な譲歩」が、米国で進行中の反トラスト法訴訟に新たな展開をもたらしている。この合併に反対するクリエイティブ業界の連合体「Block the Merger」は、英国の決定が米国における司法判断の信憑性を高めるものだと主張している。
英国での主要な譲歩と規制当局の承認
英国政府および規制当局は、Paramountが番組制作やニュース提供に関する公約を強化したことを受け、合併の承認を決定した。この承認プロセスにおいて、Paramountはデジタル・文化・メディア・スポーツ省(Department for Digital, Culture, Media and Sport)と「誓約証書(deed of covenant)」を締結した。
この合意に基づき、Paramountはリニアチャンネルとストリーミングサービスを統合しないこと、ニュースサービスと子供向けネットワークの編集上の独立性を維持することを約束した。具体的には, Channel 5 Newsの編集方針をCBS NewsやCNN Internationalから完全に分離させるほか、NickelodeonとCartoon Networkについてもそれぞれ独立した編集スタッフとアイデンティティを保持することが求められる。さらに、CNN、CBS、およびChannel 5のアーカイブへの公正なアクセスを確保することも条件に含まれた。これらのコミットメントは取引完了後に発効し、5年間継続される。英国の競争・市場庁(CMA)、メディア規制当局のOfcom、そしてリサ・ナンディ(Lisa Nandy)文化・メディア・スポーツ大臣がこの条件付き承認に合意した。
米国における反トラスト法訴訟への影響と「Block the Merger」の主張
「Block the Merger」は、アラン・カミング(Alan Cumming)やベネディクト・カンバーバッチ(Benedict Cumberbatch)といった著名人、さらにアーカイバル・プロデューサーズ・アライアンス(Archival Producers Alliance)や国際ドキュメンタリー協会(International Documentary Association)などの業界団体から支持を得ている。同団体は、英国での決定を受けて次のような声明を発表した。
ナンディ文化・メディア・スポーツ大臣がParamountから主要な譲歩を引き出したことは、米国の12州の司法長官が提起した訴訟に強力な信憑性を与えるものであるとBlock the Mergerは述べている。また、ParamountとWarnerの市場地位がはるかに弱く、CMAが大型合併の阻止に消極的になっている英国でさえ拘束力のある救済策が必要とされたのであれば、より市場集中度の高い米国市場における危険性は明白であると主張している。
団体側は、英国においてParamountとWarnerが比較的弱い市場地位にあり、CMAが大型合併の阻止に慎重な姿勢を見せている現状でも法的拘束力のある救済策が必要とされた事実に注目している。彼らは、より市場集中度の高い米国市場においては、この合併が「反競争的、反消費者、そして反クリエイター」の害悪をもたらすと警鐘を鳴らしている。また、この取引がトップ3のベーシックケーブルプログラマーのうち2社を統合し、独立系プレスやエンターテインメント市場を損なうものであると主張している。
2027年3月に予定される米国の司法闘争
米国では、カリフォルニア州のロブ・ボンタ(Rob Bonta)司法長官を含む12の州司法長官の連合体が、この合併を阻止するために提訴している。この訴訟は2027年3月に裁判が行われる予定である。州司法長官らは、今回の取引が劇場用映画の広範な配給、大予算のブロックバスター作品、およびベーシックケーブルテレビチャンネルのライセンス供与全般にわたって競争を阻害すると主張している。「Block the Merger」は、州司法長官らが独立した権限を行使して反トラスト法を執行することに期待を寄せており、裁判での勝利を通じて合併を完全に阻止する姿勢を崩していない。
