米上院は、暗号資産(仮想通貨)業界の規制枠組みを定める「CLARITY Act」の採決を9月まで延期することを決定した。ジョン・スーン上院多数党代表がこの決定を認め、上院は夏季休会に入るため、本会議での審議は議員らが9月中旬に復帰した後に再開される見通しだ。
デジタル資産の規制権限を明確化する法案の狙い
CLARITY Actは、米議会における最も重要な暗号資産市場構造法案の一つとされており、デジタル資産の規制方法を確立することを目的としている。具体的には、資産の種類に応じて証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)のどちらが主導的な監督権限を持つかを定義する。また、暗号資産取引所の運営ルールや、顧客資産のカストディ(保管)など、デジタル資産市場の主要な側面に関する規則も導入される予定だ。
上院銀行委員会のティム・スコット委員長(共和党)は、現状では報酬に関する規制基準が存在しないため、暗号資産企業が自由に行動できる状況にあると指摘。CLARITY Actの成立によって「道路のルール」を構築することが、米国の金融システムにとって最善であり、将来にわたる世界的な経済超大国としての覇権を維持することにつながると主張している。
採決に向けた政治的対立と残る争点
法案は上院銀行委員会と農業委員会のそれぞれで承認を得ており、大部分の懸案事項については合意に至っている。しかし、法案を前進させるには60票の賛成が必要であり、53議席を保持する共和党は、少なくとも7人の民主党議員の支持を確保しなければならない。現在、超党派の交渉は継続しているが、以下の3つの主要な争点について議員間の意見が分かれている。

- 倫理規定: 2025年に自身の暗号資産ビジネスから10億ドル以上の利益を得たと開示したトランプ氏を対象とする規定。シンシア・ルミス上院議員が仲介した規定にトランプ氏は合意したが、ルーベン・ガレゴ上院議員(民主党)やトム・ティリス上院議員(共和党)を含む一部の議員がその文言に懸念を示している。ティリス氏とガレゴ氏は対案を起草し、7月末にホワイトハウスへ送付したが、現時点で回答は得られていない。
- ステーブルコインの利回り: ステーブルコインの利回りおよび報酬に関するルールが依然として議論の対象となっている。
- 法執行とマネーロンダリング: 農業委員会の規定や、反マネーロンダリング(AML)要件、および法執行機関に関する懸念が残っている。
民主党のガレゴ上院議員は、共和党がさらなる譲歩に応じない限り、討論を打ち切るための動議を支持しない意向を示している。
今後のスケジュールと手続き上の見通し
上院は夏季休会後、9月14日頃から本会議での審議を再開する予定だ。今後の具体的な採決日程は、スーン代表がいつ「クローチャー(討論終結)」の手続きを申請するかによって決まる。

| 手続きのタイミング | 最初の手続き上の採決可能日 |
|---|---|
| 今月の休会前に申請した場合 | 9月15日(火) |
| 9月15日の復帰後に申請した場合 | 9月16日(水)以降 |
スコット委員長は、共和党内での支持が拡大しており、手続き上の採決に向けた進展があることを強調している。また、共和党が結束して合意を形成すれば、民主党も交渉のテーブルにつき、賛成に至る道が見出せるとの見解を示した。詳細はCoinDeskの報道などでも伝えられている。