北朝鮮軍捕虜の韓国移送と非公開合意をめぐる対立
ウクライナのゼレンスキー大統領は2026年9月23日の国連総会での演説で、ロシアに派兵された北朝鮮軍の捕虜2人を韓国に移送したと発言しました。中央日報の報道によると、ゼレンスキー大統領は10月4日の記者団に対する説明で「韓国が北朝鮮軍兵士を引き渡してほしいと要請した」「韓国の憲法によると彼らは韓国人でもある」と述べました。これに対し、韓国の李在明大統領は非公開の合意を破ったとして反発しました。李大統領は自身のX(旧ツイッター)で、ウクライナ側から非公開を求められて合意したにもかかわらず一方的に公表されたと非難しました。ウクライナ大統領府の側近であるドミトロ・リトビン氏は両国間に非公開の合意はなかったと否定し、論争に発展しました。Yahoo!ニュースなどの報道によれば、李大統領はウクライナが「朝鮮半島での戦争勃発を願っている」と受け取れる発言を行い、謝罪を要求する事態となりました。
韓国の港からロシアへの石油製品輸送疑惑に関する応酬
捕虜送還をめぐる対立に続き、両国間ではロシアへの石油製品輸出疑惑が浮上しました。ウクライナ大統領府のウラディスラフ・ブラシウク顧問は10月6日、韓国の港からロシアへ約17万6000トンの石油製品が輸送され、ロシアの燃料不足を緩和したと批判しました。英紙ガーディアンの報道を引用したAFPBB Newsによると、軽油を主とする17万6000トン以上の燃料が7月と8月に韓国からロシアへ輸送されたとされています。さらに、使用されたタンカー7隻のうち3隻は欧米諸国による制裁対象であったと指摘されました。これに対し、韓国大統領府は7日にウクライナ側の報道を否定し、その非難は不適切であると表明しました。韓国外務省は8日、仮に軽油が韓国から輸出されていた場合でも、米国などの対ロシア輸出規制の対象外である商業用軽油や航空燃料などの石油製品は輸出禁止措置には違反しないと強調しました。
北朝鮮に対する認識の違いと直接的な軍事支援の不在
両国の外交的対立の背景には、北朝鮮に対する根本的な認識の大きな違いが存在します。韓国にとって北朝鮮は、軍事的な脅威であると同時に衝突を避けながら関係を管理しなければならない隣国であり、捕虜の受け入れは金正恩政権を刺激しかねない問題です。一方、ウクライナにとって北朝鮮は自国の兵士を殺傷するために軍隊と兵器を送り込んできた敵国であり、韓国がウクライナの求める直接的な軍事支援に応じていないことも不満の蓄積につながっています。中央日報の報道によると、ウクライナのシビハ外相は1日、今回の事態を「外交上の誤解」として早期解決を望む姿勢を示しましたが、李大統領側は事実を認めて謝罪することを拒否し続ける場合は追加措置を取ると警告しました。
日本との情報共有とジェット推進ドローンの技術移転
ゼレンスキー大統領はウクライナメディアのインタビューにおいて、拘束した北朝鮮兵捕虜からロシアに到着した最初の兵士とは異なる情報を得たと明らかにしました。兵士たちはドローンの運用や電子戦システムへの対応など、実戦知識と戦闘経験を獲得していると強調しています。中央日報によると、ゼレンスキー大統領は北朝鮮軍に関するこうした情報を日本側と共有したと述べ、「日本は優れた技術を持つ立派な国だが、現代戦を遂行した経験が不足している」と指摘しました。さらに、ロシアが北朝鮮にジェット推進ドローンの技術を移転した可能性についても、北朝鮮がミサイルでロシアを支援した見返りとしてあらゆる技術が共有されていると答えています。

輸出規制とタンカー航路の確認を進める韓国政府
AFPBB Newsの報道によると、韓国外務省は開戦以降、ロシアへの全輸出量が半分以下に減少していると説明しています。ガーディアンの報道で指摘されたタンカー7隻のうち3隻が欧米の制裁対象だった件については、国内法に違反していないか確認するため、これら船舶の航路について追加の確認を行っていると外務省は述べています。ウクライナ側が指摘した石油製品の供給と制裁方針の矛盾に対し、韓国政府は法的根拠を示しながら事実関係の精査を続けています。北朝鮮軍捕虜の送還に端を発した両国の不信感は、石油製品の輸出疑惑を巻き込み、複雑な様相を見せています。ロシアと北朝鮮の軍事協力が継続する中、安全保障上の脅威に直面する韓国とウクライナの間で、今後の外交関係の修復に向けた道筋は見通せない状況が続いています。