2025年11月の高市早苗首相による台湾有事を巡る国会答弁を契機に冷え込んだ日中関係において、習近平政権が2026年夏以降に日本の国会議員や財界関係者の訪相を相次いで受け入れていることが、時事通信社の報道で明らかになった。中国経済の減速を食い止める思惑や米中関係の停滞が背景にあるとみられるが、高市政権への圧力は緩んでいない。
岩屋毅前外相の訪中と中国側の対応
日本国際貿易促進協会会長を務める岩屋毅前外相が企業関係者らとともに北京を訪れ、王毅共産党政治局員兼外相や何立峰副首相らと会談した。.
低迷する訪日中国人観光客と観光統計
日中間の政治的緊張は人的交流や観光業にも深刻な影響を与えている。日テレNEWS NNNによると、日本政府観光局による訪日中国人の推移では、2025年8月は約102万人だったのに対し、2026年8月は約42万人へと落ち込んだ。2026年1月から8月の累計でも前年同月比で56.7%減少しており、2026年の国慶節に合わせた旅行先人気ランキングでも日本はトップ10圏外へ押し出された。かつて「爆買い」で日本経済を活気づけた中国人観光客の姿は影を潜め、冷え込みが続いている。

尖閣周辺の動向と国連総会での対立
現場の海上では緊張状態が継続している。日テレNEWS NNNが伝えるところによれば、2026年10月5日現在で59日連続となる中国船の尖閣周辺への航行が確認されている。さらに、2026年9月22日の国連総会で高市首相が第2次世界大戦の敗戦国を念頭に置く「旧敵国条項」の削除を求めたことに対し、中国代表は「日本の再軍備が世界の平和と安定への脅威となっている」と反発し、削除に断固として反対する姿勢を示した。政治ジャーナリストの今野忍氏は日テレNEWS NNNの取材に対し、高市首相の発言は法の解釈をケーススタディに当てはめたものに過ぎず間違いではないと指摘する一方で、中国側は過剰に反応してけん制を続けていると分析している。
かつての「日中友好」に戻れない歴史的背景
時事通信社の解説によると、目先の経済的な必要性から対立が一時的に落ち着くことはあっても、かつてのような日中友好には戻れない見通しが示されている。かつての日中友好を支えた高齢者層の中国文化への憧れや、中国側が日本から経済運営を学ぼうとした謙虚な姿勢は、2010年に中国の経済規模が日本を抜き世界第2位となったことで変化した。中国では日本から学ぶものはないという意識が広がり、日本側の対中感情も悪化し、現在の日中関係はこうした構造的変化の必然的な結果とされる。
今後の日中関係と見通し
高市政権が続く限り日中首脳会談が実現する可能性は低く、習政権は高市政権への圧力を維持しつつ、国会議員や財界幹部を受け入れることで「ポスト高市」となる次期政権との関係改善を狙っていると時事通信社は分析している。関係改善を急ぐのではなく、双方がぎくしゃくした原因を見つめ直し、解決可能な問題を時間をかけて解消していく姿勢が求められている。政治関係の悪化を理由に民間交流まで止めるべきではないという指摘がある中、日中両国は困難なかじ取りを迫られている。