奈良市の興福寺と東大寺の境内地などで体の一部が欠損した子鹿4体の死骸が相次いで発見され、寺院関係者や愛護団体に懸念が広がっている中、県や関係機関は警戒を強めている。.
奈良公園周辺で相次ぐ子鹿の死骸発見と時系列
奈良市の奈良公園周辺では、わずか1カ月余りの間に生後1カ月に満たない子鹿4頭の死体が相次いで見つかった。FNNプライムオンラインの報道によると、最初の死骸は8月21日に興福寺の北参道付近で発見され、その6日後には東大寺大仏殿の東側付近で2頭目が確認された。さらに9月17日には西側付近で3頭目が見つかり、10月1日には4頭目が興福寺の境内で発見された。死骸はいずれも早朝の職員による見回りの際に見つかっており、前日の夜間には存在しなかったという。
専門機関の見立てと現場の不自然な状況
発見された4頭の死体はいずれも体の一部が欠損していた。一般財団法人「奈良の鹿愛護会」の中西康博副会長は、今年は餌不足などで弱小個体の自然死が増える傾向にあるとしつつ、「わずか2カ月間に連続して部位欠損の死骸が見つかるのは異例で、不気味さを感じる」と述べた。また、奈良県の発表では、専門機関からの回答として「野生動物によるものである可能性は低い」とされており、人による加害の可能性が浮上している。東大寺の上司永照執事長は、発見場所で目立った血痕が確認されなかった点に違和感を抱いたと記者会見で語った。
報道機関による見解の相違と警戒態勢
産経新聞の取材に対して、興福寺の辻明俊執事長は過去の例から動物に襲われた可能性が高いのではないかとの見解を示している。ただし、発見場所の一つが一般参拝者の立ち入らない柵に囲まれた回廊跡付近であったことから、何者かが侵入して遺棄した可能性も排除できないとしている。これを受け、奈良県や鹿愛護会、警察などはパトロールを強化している。愛護会は不自然な外傷があれば直ちに奈良県警へ証拠を引き渡せるよう監視体制を強める方針だ。
観光地としての影響と夜間の注意喚起
国の天然記念物である「奈良のシカ」を巡っては、過去にボウガンやおののような刃物で殺傷される事件が起きている。死骸がいずれも朝の巡回時に見つかっていることから、奈良県は住民や観光客に対し、夜間の奈良公園周辺での一人歩きを控えるよう異例の呼びかけを行った。東大寺や興福寺といった県内有数の観光地を抱える中、山下真知事は観光面への悪影響や治安悪化を懸念し、十分な注意を喚起する必要があったと説明している。

過去の事件と今後の真相究明の行方
これまでに発見された4頭の死骸はすでに焼却処分されており、詳しい死因や真相の究明は見通せない状況が続いている。過去の残虐な殺傷事件の記憶が残る中、関係各所は警戒をさらに強めている。子ジカの死が人による加害行為であった場合、文化財保護法などに違反する可能性があるため、警察による今後の捜査や監視活動の成果に注目が集まっている。