ボストンの連邦地方裁判所は火曜日、ドナルド・トランプ大統領が署名した大統領令の一部に対する執行停止命令を全米規模に拡大した。この命令は、2026年11月3日の中間選挙を控え、郵便投票を制限することを目的としていた。
全米規模へ拡大した郵便投票の制限措置
インディラ・タルワニ連邦地方裁判所判事による今回の判断は、郵便公社(USPS)に対し、トランプ大統領の指示を実行するあらゆる試みを禁止するものだ。6月25日の時点では、タルワニ判事の判決は訴訟を起こした民主党主導の23州とワシントンD.C.のみに適用されていた。現在、この問題は最高裁判所の判断を待つ段階にある。なお、タルワニ判事はオバマ元大統領によって指名された人物である。
大統領令をめぐる権限の境界線
今年3月に署名されたこの大統領令は、各州に対して有権者リストの提出を要求するものだった。応じない州に対し、USPSが郵便投票用紙の配送を拒否するという仕組みを構築しようとしていた。
投票権団体による差し止め請求を認めたタルワニ判事は、トランプ大統領の命令が憲法上の権限を逸脱している可能性が高いと指摘した。判決文には「行政部門には選挙を規制する権限はない」と明記されている。さらに判事は、現政権がこの大統領令の合憲性について弁護を拒んでいる現状を問題視し、「連邦政府は、大統領令の指示が合憲であることの弁護を拒否した」と断じた。
根拠なき主張と公共の利益
法廷において、現政権は「大統領令の施行を差し止めることが郵便投票の完全性を危うくする」と主張した。しかし、タルワニ判事はこれを退けた。現政権は不正な不在者投票に関する証拠を提出できず、判事はUSPSの動きを全国的に阻止することが公共の利益を損なうことはないと判断した。
この命令が有権者の間に混乱を招いていることも、判決の重要な背景にある。
ホワイトハウスの公約と最高裁の行方
判決を受け、ホワイトハウスのローレン・ビス報道官は以下の声明を発表した。

「トランプ政権全体は、トランプ大統領が国民から付託された公約を今後も法的に推進し続ける。それにはアメリカの選挙の安全と保障が含まれている」
トランプ大統領は2025年8月のソーシャルメディア投稿で、「郵便投票を排除する運動を主導する」と宣言していた。2026年の中間選挙に向けて「誠実さをもたらす」ことが目的だという。大統領は2020年の敗北を郵便投票のせいにし続けているが、その主張は裁判所や選挙当局、研究者らによって繰り返し否定されてきた。
タルワニ判事は危機感を隠さない。「11月3日の2026年中間選挙まで90日を切った現状は、選挙直前にルールが変更されることを防ぐための差し止め命令が極めて重要であることを強調している」
7月下旬、トランプ政権は下級裁判所の決定を停止するよう最高裁判所に要請した。最高裁からの回答は未だなく、法的な不確実性を抱えたまま、全米の選挙準備は混迷を深めている。