アラバマ州では8月11日に、第1、第2、第6、第7連邦下院選挙区を対象とした特別予備選挙が実施されました。ケイ・アイビー知事が設定したこの選挙は、米国最高裁判所が、人種に基づいて選挙区を画定することを違憲とする判断を下し、1965年投票権法の一部を事実上無効化したことを受けたものです。これにより、アラバマ州は2023年に共和党が支持した選挙区地図を採用することとなりました。
共和党主導の地図への変更と政治的影響
アラバマ州の共和党が支配する州議会は、5月の通常予備選挙のわずか2週間前に、州内7選挙区のうち4つの境界線を再構成しました。この変更により、以前の裁判所決定に基づいて作成された、主に黒人居住者が多い選挙区の形状が変更されました。州当局が2023年の共和党支持案を採用したことで、共和党が連邦下院の議席をさらに獲得できる可能性が高まっています。
この急激な変更は、現職議員に大きな影響を与えています。2024年に初当選したショマリ・フィギュアーズ議員にとって、新しい地図は再選への道を最も困難なものにしました。フィギュアーズ議員は、黒人有権者が提訴し、連邦裁判所が地図の描き直しを命じたことで、モービルとモンゴメリーという黒人人口の多い都市を含む新しい選挙区で選出された経緯があります。なお、フィギュアーズ議員は民主党の指名争いで競合者がいないため、今回の8月11日の特別予備選挙の投票対象には含まれていません。
有権者の混乱と投票への懸念
短期間に2度の予備選挙が行われたことで、有権者の混乱が広がっています。アラバマ州務大臣のウェス・アレン氏によると、5月の予備選挙で投じられた上記4選挙区の票は、党の候補者を決定する目的においては無効(void)となりました。8月11日の特別予備選挙の結果が、11月の本選挙の投票用紙に記載される候補者を決定し、この選挙は決選投票のない「勝者総取り」方式で実施されました。

特に、アフリカ系アメリカ人が多く住む「ブラックベルト」地域の有権者からは、選挙区の境界線や日程の変更が黒人有権者の投票意欲を削ぐのではないかという懸念の声が上がっています。ローンズ郡の住民であるウィリー・ディクソン氏は、混乱が起きることで人々が諦めて投票に行かなくなる可能性を指摘しています。
共和党候補者の動向と競争の激化
選挙区の再編は、共和党内の競争状況にも変化をもたらしました。例えば第2選挙区では、以前は29歳のハンプトン・ハリス氏のみが共和党候補として立候補していましたが、地図の変更によって「議席を奪還できる(flipped district)」という期待が高まったことで、新たに候補者が参入しました。その結果、現在は6人の共和党候補者が指名を争っています。ハリス氏は、裁判所の判決や州議会による再編を経て、一時は州のほぼ半分に相当する地域で出馬しているような状況だったと述べています。

特別予備選挙の概要
今回の特別予備選挙に関連する主な状況は以下の通りです。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 対象選挙区 | 連邦下院 第1、第2、第6、第7選挙区 |
| 実施日 | 2026年8月11日 |
| 採用された地図 | 2023年の共和党支持案 |
| 決定方式 | 決選投票なしの勝者総取り方式 |
| 5月予備選の扱い | 上記4選挙区の票は候補者決定において無効 |
なお、選挙区の境界線を巡る法的な争いは依然として続いており、訴訟の対象となっています。