米国西部では1960年代以降、約300の氷河が消失したことが、ポートランド州立大学の研究で明らかになりました。地球温暖化による気温上昇が主な原因で、残存する氷河の大部分も今世紀末までに劇的に縮小すると予測されており、生態系や水資源への影響が懸念されています。
1960年代から続く300の氷河消失
ポートランド州立大学の地理学者アンドリュー・ファウンテン氏が主導した新たな研究によると、米国西部の山々に点在していた氷河のうち、約300が機能的に消失しました。同研究は、衛星データや航空写真を活用し、米国西部6州の氷河の衰退状況を調査したものです。
かつて米国西部には1,450以上の氷河が存在していましたが、1960年代以降、その総面積は3分の1まで縮小しました。ファウンテン氏は、この急速な変化について次のように述べています。
「この事実を認識したとき、『うわ、自分が思っていたよりもずっと多い』と感じました。」
アンドリュー・ファウンテン、ポートランド州立大学地理学者
現在、「機能的に消失した」と見なされる氷河は、サッカー場2面分程度の大きさにまで縮小し、重力によって移動する能力を失っています。特に標高の低いシエラネバダ山脈やカスケード山脈の南向きの氷河で、消失率が高いことが確認されました。

加速する融解と水資源への脅威
氷河の縮小は、単なる景観の変化にとどまらず、農業や水力発電、そして地域の飲料水源に深刻な影響を及ぼしています。ファウンテン氏は、冬の降雪が減り、代わりに雨が降ることで氷河が十分に「栄養」を得られず、夏場には猛暑で融解が加速するという「二重の打撃」を受けていると指摘しました。
「悲しい結論ですが、氷河の変化が加速している兆候が見られ、2100年までにはその多くが姿を消すだろうと言わざるを得ません。夏は暑さでより多く融け、冬は雪ではなく雨が降るため、氷河が維持されません。これは二重の打撃であり、良いニュースは一つもありません。」
アンドリュー・ファウンテン、ポートランド州立大学地理学者
また、カリフォルニア大学アーバイン校の氷河学者エリック・リニョ氏は、氷河の消失だけでなく、地形の不安定化に伴う危険性についても警鐘を鳴らしています。
「氷が消えるだけでなく、地形がもはや安定していないという、私たちが十分に備えてこなかった一連の危険が存在します。」
エリック・リニョ、カリフォルニア大学アーバイン校氷河学者
極地の氷床融解と海面水位の上昇
米国西部の山岳氷河だけでなく、グリーンランドや南極といった極地の氷床も危機的な状況にあります。先月発表された大規模な調査によると、1979年以降、極地では約12.5兆トンもの氷が失われました。これは地球全体の海面水位を約1インチ(約2.54センチ)上昇させた計算になります。
リニョ氏は、沿岸部での洪水被害について、長年警告を発してきたにもかかわらず、社会の対応が遅れていると指摘しました。
「人々は南カリフォルニアの洪水に衝撃を受けていますが、私たちは40年前からこのことについて警告してきました。地下室が浸水するまで、誰も耳を傾けようとはしませんでした。」 エリック・リニョ、カリフォルニア大学アーバイン校氷河学者
海面水位の上昇は、嵐や高潮の影響を増幅させ、沿岸都市に甚大な被害をもたらすリスクがあります。リニョ氏は、「手遅れではない」と強調し、化石燃料の燃焼を抑えるなどの行動が重要であると訴えています。