米国司法省は2026年10月15日、カリフォルニア州が有権者名簿の非市民登録者リストの点検を拒否したとして同州を提訴した。連邦政府は、2万人分の郵送投票用紙の集計保留を求めているが、州当局は選挙妨害であると強く反発している。
司法省による提訴と2万人の投票用紙を巡る攻防
ドナルド・トランプ米国大統領の政権は、登録された非市民の投票者リストの審査に関する期限をカリフォルニア州が超過したことを受けて同州を提訴した。カリフォルニア州のすべての登録有権者に対して投票用紙が郵送される仕組みとなっており、木曜日にカリフォルニア州の連邦地裁に提出された訴状において、司法省の当局者は裁判所に対し、連邦政府が「可能性が高い」非市民と認定した人物からの郵送投票用紙を集計対象から外すよう求めている。
この訴訟の直前、司法省はロサンゼルス郡などの選挙当局に対し、パスワード付きのサムドライブで提供された2万人の名前が含まれるリストを48時間以内に点検するよう最後通牒を出していた。州の職員らはこの期限に対応せず、司法省はこれを強制的な措置への不服従とみなした。カリフォルニア州の州務長官であるシャーリー・ウェーバー(Shirley Weber)は、自身のオフィスにはそのようなリストは一度も送られてこなかったと述べている。ウェーバーは司法省宛ての書簡の中で、州の有権者名簿に記載されている2万人が非市民であるという主張を裏付ける証拠を連邦政府が提供していないと指摘した。
刑事訴追の警告とトランプ大統領の反応
トランプ政権は10月16日、容疑者の投票用紙を処理・集計する地方選挙管理官に対し、刑事捜査や起訴のリスクがあると警告する書簡を送り、圧力を一段と強めた。
司法省のトレン・マコター(Trent McCotter)代行次官補が署名し、ロサンゼルス郡のカウンティ・カウンセル(郡法務事務所)宛てに送られ、シャーリー・ウェーバー州務長官およびロサンゼルス郡の選挙管理責任者であるディーン・ローガン(Dean Logan)にも写しが送られた書簡では、連邦選挙における非市民の投票は犯罪であり、それを故意に手助けすることも違法であると指摘されている。「連邦機関によって非市民と特定された人物が投じた用紙を故意に集計する者は、連邦犯罪のほう助犯となる危険を冒すことになる」と警告した。
トランプ大統領は金曜日遅く、Truth Socialにおいてこの書簡に関するニュース記事へのリンクを共有し、「彼らは全員、長期間刑務所に行くだろう!!!」と投稿した。ロサンゼルス地域における連邦刑事事件は、同地域の上級連邦検察官であり木曜日の連邦提訴を行った当局者の一人であるビル・エサイリ(Bill Essayli)のオフィスが担当することになる。
州当局と権利擁護団体による激しい反発
カリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサム(Gavin Newsom)はこの訴訟を激しく非難し、「投票日までわずか3週間という時期にカリフォルニア州の有権者を抑圧しようとする悲しむべき、必死の試みだ」と述べた。カリフォルニア州のロブ・ボンタ(Rob Bonta)司法長官も、連邦政府による土壇場での要求は根拠レスであり悪意に満ちていると批判した。

もう一度言うが、この司法省は中間選挙を乗っ取るために、違法かつ前例のない戦術に訴えている。投票が積極的に行われている最中に、有権者の参政権を奪おうとするこの最新の試みがなされている。 クリステン・クラーク、NAACP法務担当顧問

全米黒人地位向上協会(NAACP)、キャンペーン・リーガル・センター(CLC)、LULAC、デモクラシー・ディフェンダーズ・ファンドなどの諸団体は10月16日、カリフォルニア州の2万人以上の有権者の権利を守るため、連邦政府が透明性のない手法で作成したリストに基づいて投票を集計拒否させようとしていることに対して非難の声を上げた。司法省は10月14日付けでロサンゼルス郡のregistrar-recorder/county clerkおよびシャーリー・ウェーバー州務長官に対し、方法を明かさない不透明なリストに基づく分離と集計拒否を求める書簡とサムドライブを送付していた。
専門家が指摘する法的基盤の脆弱さと選挙への影響
選挙法専門家や元司法省当局者は、今回の連邦政府の法的根拠に強い疑問を投げかけている。司法省の元副次官補であるジャスティン・レヴィットは、この訴訟を「訴訟の姿をしたプレスリリースにすぎず、ひどく滑稽だ」と一蹴した。

UCLAの法学教授であるリック・ハーセン(Rick Hasen)は、この書簡が選挙管理官に対して刑事訴追の可能性を示唆することで事態をエスカレートさせていると指摘した。また、連邦法である国民投票登録法(National Voter Registration Act)は、選挙前の90日以内における有権者名簿の組織的なメンテナンスを禁じており、最高裁判所もその制限を支持している。州当局や専門家は、夏に国土安全保障長官マークウェイン・マッリン(Markwayne Mullin)がカリフォルニア州には約19万人の非市民有権者がいると示唆していた数字が、訴訟時点では2万人に減少している点についても疑問を投げかけている。
同様の連邦政府による非市民の有権者名簿を巡る調査は過去にも行われている。ネバダ州などでは、政府が数千人の非市民がいると主張したものの、その後の精査で実際に該当した者はゼロであったという経緯が存在する。全米での実際の非市民による投票は極めて稀であることが、様々な調査によって示されている。