米国とサウジアラビアは、民間原子力協力に関する画期的な合意を締結した。ドナルド・トランプ政権のエネルギー省は水曜日、両国が原子力技術の提供を含む「123協定」および付随する二国間保障措置協定に署名したと発表した。
この合意は数十年にわたり、数十億ドル規模の経済的価値が見込まれるパートナーシップであり、米国のエネルギー企業がサウジアラビアの原子力発電プログラムにおいて優先的なアクセス権を得る枠組みを構築する。
ドナルド・トランプ政権のエネルギー省による123協定の締結
合意の概要と米国の狙い
エネルギー省のクリス・ライト長官は、この合意が「米サウジアラビア間の商業関係を強化し、国内に繁栄をもたらす」と強調した。同省は、今回の取り決めが最高水準の原子力安全性と核不拡散基準を維持しつつ、世界最高の米国の原子力技術を活用するものだと主張している。
米国の政府高官によるメモによると、本合意は平和的な原子力エネルギー利用に限定されており、米国はサウジアラビアの核兵器開発を支持しないとしている。また、この協定は米国のエネルギー企業がサウジアラビア国内で商用原子炉や燃料を供給するための法的基盤となる。
国際原子力機関(IAEA)の査察とゴールドスタンダードの不在
核不拡散を巡る懸念と査察のレベル
一方で、今回の合意内容には専門家や議員から強い懸念が示されている。報道によると、本協定には、ウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理を禁止する「ゴールドスタンダード」と呼ばれる条項が含まれていない。また、アラブ首長国連邦(UAE)との契約で求められるような、国際原子力機関(IAEA)による最高レベルの厳格な査察を義務付けるものではないとされる。

NBC Newsの報道によれば、トランプ政権は本協定を進めるために、通常の国際査察を免除する国家安全保障上の権利放棄を行った。これに対し、ロイヤル・ユナイテッド・サービス研究所のダリア・ドルジコワ氏は、適切なガードレールがない協定は「核拡散の観点から懸念される」と指摘している。
米議会による90日間の検討とブラッド・シャーマン下院議員の批判
議会によるレビューと今後のプロセス
Al Jazeeraによると、本合意は今後米議会に提出され、90日間の検討期間が設けられる。NPRなどの情報によれば、議会は本協定を審査する権限を持つが、協定を阻止するには拒否権を覆すほどの多数決が必要となる可能性がある。

一部の議員からは、核拡散のリスクを理由に反対の声が上がっており、ブラッド・シャーマン下院議員は「UAEとの合意と同じゴールドスタンダードの保障措置がない限り、議会は承認すべきではない」とSNS上で批判を展開した。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子とイランのウラン濃縮活動
地域情勢への影響
専門家からは、サウジアラビアがウラン濃縮の道筋を持つことは、イランとの核協議をより複雑にする可能性があるとの見方も出ている。ハーバード大学ケネディスクールのマシュー・バン氏は、サウジアラビアが厳格な査察を受け入れない場合、イランが自身の核プログラムに関する査察に応じる動機が弱まると指摘した。

USA TODAYによれば、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は過去に、イランが核兵器を開発すればサウジアラビアも追随するとの意向を示唆しており、今回の合意が中東における核開発競争を誘発するのではないかという懸念が消えていない。
合意の主要ポイント
- 契約期間: 30年(報道に基づく)
- 経済規模: 数十億ドル規模
- 主な内容: 民間原子力プログラムの構築、米国企業による原子炉および技術の提供
- 議会対応: 90日間の審査期間を経て提出
- 重要な制限: ウラン濃縮の禁止条項は含まれていない(報道による)
