米テネシー州リヴァーベンド最高警備刑務所で9月30日、31年前に同級生を殺害した罪で死刑判決を受けたクリスタ・パイク死刑囚に対する死刑執行が行われたが、致死量の薬物が2回投与された後も心臓が動き続けたため、死刑囚は外部の医療施設に搬送されたと、bbc.comが報じた。ロイターによると、同州では約200年ぶりとなる女性への死刑執行だった。
リヴァーベンド最高警備刑務所での執行開始
クリスタ・パイク死刑囚の死刑執行は30日午後8時ごろ、ナッシュヴィルのリヴァーベンド最高警備刑務所で始まった。AP通信によると、薬物ペントバルビタールが2回投与され、証人室のカーテンは2回閉じられた。立ち会っていた報道機関の記者らは、ある時点で退室を求められたという。ロイターの報道では、立ち会った記者らは同死刑囚があえぎ、痛みを訴え、脚を繰り返し蹴り上げていたと証言している。弁護団は立会人の証言として、執行担当者は致死薬の入った注射器2本分を全て投与したが、パイク死刑囚はなお生存し、いびきをかいていると訴えていた。
弁護団による緊急の執行停止申し立て
パイク死刑囚の弁護団は執行のさなかに執行停止を緊急に申し立て、「パイク氏は意識を失っているが、心臓はまだ動いており、いびきの音を立てている」と主張した。弁護団の1人はBBCに対し、パイク死刑囚は病院で救命措置を受けていると話した。弁護団は現地紙テネシアンへの声明で、今夜テネシー州はまたしても合法的な死刑執行に失敗したと主張し、静脈へのアクセスの難しさや薬物の劣化、緊急医療処置の欠如といった懸念が現実になったと指摘した。州地裁のクリフトン・L・コーカー判事は、申し立てで要求された医療処置を医療従事者が開始したとしている。

矯正局の主張と医学専門家の見解
テネシー州の矯正局は、今回の死刑執行における全ての措置が正しいものだったと主張している。ドリンダ・カーター報道官は現地紙テネシアンに対し、手順で示されている致死注射薬は一貫して効果を発揮しており、今夜実施された以上の追加処置は手順では認められていないと説明し、パイク死刑囚は外部の医療施設に搬送されたと述べた。一方、パイク死刑囚の弁護団から医療専門家として依頼を受けたことがあるというエモリー大学医学部のジョエル・ジヴォット教授は、ペントバルビタールの血中濃度が十分な水準に達しなかった可能性が高いとBBCに説明し、蘇生処置の開始が遅れた結果として脳に損傷を負う可能性は非常に高いとした。
直前まで続いた法的闘争と事件の背景
パイク死刑囚の刑の執行をめぐっては、弁護団が直前までたびたび法的異議を申し立てていた。連邦最高裁はこれまでに、執行を阻止しようとする試みを2件退けており、一つは下級裁が30日に与えた執行猶予を同日中に覆した件であり、もう一つは1996年の裁判で幼少期に受けた性的虐待の記録に関する情状酌量証拠を陪審が検討する機会がなかったとする上訴の棄却だった。パイク死刑囚は1995年、ノックスビルでコリーン・スレマーさんを拷問、殴打して死亡させた事件に関与し、犯行当時は18歳だった。人権専門家らは、犯行時の年齢や幼少期に性的虐待を受けた経緯、未治療の精神疾患を理由に刑執行に反対していた。
搬送後のパイク死刑囚の容体や、今後の法的対応は明らかになっていない。