神奈川県警の警察署で、更新時に回収した旧運転免許証が警備公安部門に不正流用されていたことが判明した。約30年前の平成初期から常態化していた疑いがあり、警察庁は全国の警察に対し、個人情報保護法に抵触する恐れがあるとして調査を開始した。
神奈川県警で長年続いていた旧免許証の流用
神奈川県警の複数の警察署において、更新時に回収した市民の旧運転免許証を交通課から警備課へ網羅的に引き渡す運用が、長期間にわたり常態化していたことが分かった。東京新聞の報道によると、県警の聞き取りに対し、警備公安部門のベテラン警察官は「平成1桁(1989〜1997年)当時には、先輩の指導や前任者からの引き継ぎで、既に行われていた」と証言している。TBS NEWS DIGによると、この運用は港北警察署など複数の署で行われていた可能性がある。
保土ケ谷署での紛失が発覚の端緒に
事態が表面化したのは、今年8月に発生した保土ケ谷署での紛失事案がきっかけだった。同署警備課の20代男性巡査長が、前任地時代に入手した31枚の失効した免許証をリュックサックに入れたまま駅に置き忘れ、一時紛失した。この際、免許証が個人の持ち物としてリュックサックに入れっぱなしになっていた管理の甘さが露呈している。読売新聞の報道(Yahoo!ニュース経由)では、警備課において過激派などの警戒対象者リストと免許証の顔写真を照合し、一致した場合はデータベースに登録していた実態が報じられた。
警察庁が全国調査と運用見直しへ
警察庁は、今回の問題を重く見て全国の都道府県警に対する調査を開始した。TBS NEWS DIGによると、警察庁は旧免許証から不正に得た疑いのある顔写真データについて、データベースからの消去を指導する方針を示している。また、個人情報保護法の観点から、地方公共団体が同法の対象となった2023年以降も旧来の運用が漫然と続いていた可能性を指摘している。ABEMA TIMESの報道(Yahoo!ニュース経由)でも、目的外利用にあたるとして、個人情報保護法に抵触する可能性が高いとの見解が示された。
旧免許証の取り扱いに関する全国統一ルール
これまで、免許更新時に回収した旧免許証の取り扱いは都道府県警ごとに対応が分かれていた。この状況を是正するため、警察庁は今月9日、全国の警察に対して統一ルールを通達した。今後は原則として、旧免許証に穴を開けた上で更新した本人に返却することとし、個人情報の管理を徹底する方針である。専門家からは、公務員が職権を濫用して情報を不正に収集した責任を問う声や、第三者による検証を求める意見も上がっている。

捜査手法の拡大と問われる信頼性
警察は現在、スマートフォンの遠隔解析など、より高度でプライバシーに関わる捜査手法の導入を推し進めている。しかし、今回の旧免許証を巡る不適切な運用は、警察が市民から預かる個人情報に対する管理意識の欠如を露呈させる形となった。今後、警察組織が市民の理解を得るためには、過去の慣例を精査し、適切な個人情報の取り扱いを前提とした捜査体制を再構築できるかが問われる。関係者の刑事責任の所在を含め、今回の問題が警察全体の信頼回復にどのような影響を及ぼすか、今後の調査結果が注視される。