横浜市立大学は13日、同大みなとみらいサテライトキャンパスで大学院生によるデータ分析競技会「データソン」を開催した。ディー・エヌ・エー(DeNA)から提供された匿名加工データを用い、糖尿病と歩数の相関性などを検証。データサイエンティストの育成と実務スキルの習得を目的とした産学連携の取り組みである。
産学連携で挑む健康データの分析
横浜市立大学とIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)は、2022年にデータサイエンス分野での産学連携協定を締結した。この協力体制の一環として、翌年から継続してデータソンが実施されている。今回の分析対象となったのは、DeNAのグループ会社が国民健康保険向けに提供しているスマートフォンアプリから取得されたデータだ。糖尿病およびその予備軍の計10万人分という大規模なデータを活用し、大学院生たちが実戦的な課題解決に取り組んだ。
4グループに分かれた院生たちの仮説検証
今回のデータソンには13人の大学院生が参加し、4つのグループに分かれて約2か月間の分析を行った。テーマは「糖尿病による歩数と腎機能の関係」である。各グループは、1日の平均歩数が8000歩以上の群とそれ未満の群を比較したり、歩数が1000歩増加した際の腎機能の変化を追うなど、それぞれ独自に仮説を立てて検証を進めた。読売新聞によると、どのグループも事前に想定していたような明確な相関関係がデータから読み取れず、分析の難しさに直面した様子が見られた。
現役データサイエンティストからの助言
発表後には、現役のデータサイエンティストたちが講評を行い、院生たちの試行錯誤を評価した。実務の専門家からは、現場特有の知見に基づいた具体的なアドバイスが送られた。
- 腰につける歩数計の方が、スマホアプリよりも歩数が多くカウントされる傾向がある。
- 季節によって歩数が自然と増減するため、データ分析時には季節要因を考慮する必要がある。
- 分析の精度を高めるためには、アプリ利用開始前など、より多角的なデータ収集が望ましい。
質疑応答の時間には、分析期間をさらに長期化させる可能性や、データの網羅性について活発な意見交換が行われた。
データサイエンスが拓く医療の未来
今回の取り組みは、単なる学生の演習にとどまらず、将来的な社会課題の解決を見据えたものだ。ビッグデータの解析を通じて個人の健康状態をより正確に把握し、健康寿命の延伸や医療費の適正化へとつなげることが期待されている。今後も産学双方の知見を融合させることで、より実効性の高いデータ利活用の手法が確立される見通しだ。