JR東海とJR西日本の両社は16日、東海道・山陽新幹線の「のぞみ号」と「みずほ号」の指定席を2027年7月から値上げすると発表した。インフレに伴うコスト上昇を受けた措置で、国鉄民営化以降、通年での指定席特急料金の引き上げは初めてとなる。
東海道・山陽新幹線の指定席が2027年7月から値上げへ
JR東海とJR西日本が16日に発表した計画によると、「のぞみ号」と「みずほ号」の普通車指定席は2027年7月から値上げされる。東京―新大阪間では700円、新大阪―博多間では280円の引き上げとなる。自由席の特急料金については据え置く方針だ。グリーン車についても同年12月から値上げを実施する。のぞみとみずほをグリーン車で利用する場合、それぞれ3700円と4080円の値上げとなる。東海道新幹線において、国鉄民営化以降に通年で指定席特急料金を値上げするのは今回が初となる。山陽新幹線では過去の改定に加え、2023年4月に指定席特急料金の値上げを実施している。
グリーン車の座席刷新など車内サービスも拡充へ
料金改定に伴い、両社は車内の快適性を高める取り組みを進めると説明している。グリーン車ではドリンクホルダーやスマホホルダーを備えた「多機能アームレスト座席」を8号車と9号車に整備する。10号車には隣の座席との間にパーティションを設けるなど、座席の仕様を充実させる方針だ。これらの改定は2027年12月から順次導入される予定となっている。両社はこれまで所要時間の短縮や運転本数の増加といった実績を強調した上で、インフレに伴う安全性やサービス維持のためのコスト上昇を今回の改定理由に挙げている。
年間で最大600億円の増収とコスト上昇の背景
今回の料金改定により、JR東海では年間で500億から600億円、JR西日本では同80億から90億円の増収を見込んでいる。増加した収入について、両社は今後のさらなる安全性向上やサービス改善に活用していく方針を示した。16日に東京都内で開かれた記者会見で、JR東海の丹羽俊介社長はインフレの影響として人件費や修繕費、資材の高騰を挙げている。なお、リニア中央新幹線の総工費増と今回の値上げとの関連性については否定した。
総括原価方式を巡る制度の課題と今後の議論
新幹線の特急料金は、適正な原価に利益を加えた金額を上回らないよう国が上限を認可する総括原価方式に基づいて決定される。鉄道業界では「収支が悪化しないと上限改定の土台に立てない」との見方がある。今回値上げする特急料金は上限に達しておらず、認可された範囲内で引き上げの余地があった。JR東海は高水準の利益を上げており同方式での上限引き上げはできない。JR西日本も5年以内をメドに申請を出す方針だが、足元の財務状況を踏まえると承認のハードルは高いとされている。両社は企業の経営努力が反映されにくいとして同方式の見直しを求めており、公共性を重視する制度と利益を追求する上場企業のあり方を巡る議論は今後も続く見通しだ。