最高裁判所は、逮捕状や捜索令状をオンラインで請求・発付する「電子令状」の導入スケジュールを決定した。今年度中に首都圏の1都3県で運用を開始し、来年7月までには全国で全事件を対象とする方針だ。改正刑事訴訟法の施行に合わせ、捜査の迅速化と現場の負担軽減を図る。
今年度中に首都圏1都3県で先行運用を開始
最高裁は、電子令状の運用を今年度中に東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で開始する。読売新聞などの報道によると、この地域で先行する理由は、必要な人員体制が整っているためだ。対象事件は、覚醒剤の所持・使用事件に限定する。これらの事件は鑑定結果などの証拠が定型的であり、公判での争点も明確なケースが多いため、安定的な導入が可能と判断した。
来年7月までに全国で全事件へ拡大
電子令状の対象範囲は段階的に拡大される。来年5月からは、1都3県で全事件を取り扱うほか、大阪、愛知、福岡、北海道など高裁が置かれている7道府県でも覚醒剤所持・使用事件の対応を始める。さらに、来年7月には全国の全ての裁判所で、全ての事件を対象とする見通しだ。これは刑事手続きのIT化を定めた改正刑事訴訟法が、来年3月までに施行されることに合わせた措置である。

土日・夜間の審査体制を東京と大阪に集約
改正法の施行後、業務の効率化を目的として、土日祝日や平日の夜間における令状審査は東京地裁と大阪地裁の2カ所に集約される。東日本の事件は東京地裁、西日本の事件は大阪地裁が担当する方向で調整が進んでいる。読売新聞によると、現在は裁判官や職員が泊まり込むなどして24時間体制を維持しているが、集約を機に、当直施設などの設備上の制約から男性に限られていた夜間業務を女性職員にも割り当てる方針だ。
システム連携と情報セキュリティーの確保
電子令状の運用にあたっては、弁護人ら関係者以外は接続できない新たな事件管理システムが導入され、警察や検察のシステムと連携する。現在、警察官らは裁判所に出向いて紙の資料を提出しているが、今後は端末上で電子データを請求し、タブレットなどで令状を提示することになる。一方で、司法統計によると2025年の逮捕状請求は全国で9万3360件にのぼり、発付率は98・6%だった。大量の個人情報を含むデータの流出を防ぐため、徹底したセキュリティー管理が不可欠となっている。

最高裁が定めた電子令状の導入スケジュールによると、今年度中に東京、神奈川、埼玉、千葉で覚醒剤所持・使用事件から運用を開始する。来年5月には1都3県で全事件へ拡大し、高裁所在の7道府県で覚醒剤事件を開始する。その後、来年7月には全国の全ての裁判所で全事件に対応する見通しである。
捜査の迅速化と今後の課題
電子令状の導入により、警察官らの移動時間が削減され、手続きの効率化が期待されている。一方で、弁護士からは「経験の浅い若手や民事裁判官が短時間で発付の判断を迫られる中で、十分な審査ができているのか」という懸念も示されてきた。今後は、知識や経験が豊富な裁判官による緻密な審査体制をいかに維持するかが焦点となる。捜査当局と裁判所は、システムの安全性と審査の質を両立させ、司法手続きへの信頼を確保することが求められている。