山口県美祢市の和菓子店で8月に店主の斉藤一正さん(当時80歳)が殺害され、金庫が奪われた強盗殺人事件で、警察は26日までに自営業の男2人を逮捕した。便利屋を営む容疑者らが浮上した背景には防犯カメラの捜査があり、遺族は突然の逮捕の知らせに無念の思いを語っている。
和菓子店主殺害から2カ月、容疑者2人を逮捕
8月28日、山口県美祢市で長年親しまれてきた和菓子店「斉藤製菓」を舞台にした強盗殺人事件は、発生から約2カ月を経て大きな転換点を迎えた。Yahoo!ニュースの報道によると、警察は村岡耕志浪容疑者(26、山口県周南市)と大倉万輝容疑者(27、広島市)を強盗殺人などの疑いで逮捕した。毎日新聞によると、2人は斉藤一正さんを殺害し、妻(78)に重傷を負わせた疑いが持たれている。事件現場となった店舗兼住宅には、逮捕の報が流れた現在も規制線が張られたままである。
店主の発見と犯行の状況
事件が発覚したのは8月28日のことだった。毎日新聞の取材に対し、斉藤さんの長男(52)は、新聞が取り込まれていないことを不審に思い店を訪れた際に、1階の和室で両親が血を流して倒れているのを発見したと振り返っている。警察の調べでは、斉藤さん夫妻には鈍器で殴られた跡があった。店舗の売り上げ金は残されていたものの、金庫が奪われていた。現場の状況について、警察は窓が割られたりこじ開けられたりした痕跡はなく、室内も無差別に荒らされた様子はなかったと説明している。ただし、建物の裏口のカギは開いていたという。

“便利屋”という仕事と捜査の経緯
逮捕された2人の共通点は「便利屋」としての業務内容にあった。村岡容疑者は便利業を営み、大倉容疑者も自称で便利業をしていると話している。Yahoo!ニュースによると、便利屋は害虫駆除やカギの開錠などで室内に立ち入る機会が多い職業である。捜査当局は防犯カメラの映像解析などを通じて2人を特定した。現時点で、2人は斉藤さんの親族や知人ではなく、全くの他人であるとされている。村岡容疑者が暮らしていた周南市の近隣住民は、容疑者一家について「詳しい人はいない」と話しており、地域社会との接点は希薄だった様子がうかがえる。
遺族が抱える深い無念
突然の悲劇に見舞われた遺族の心痛は計り知れない。長男は、父親が使っていたプロボックス(車)を手放す商談のさなかに警察からの電話を受けたという。長男は「父の車をどう使っていいのか分からなくて……お店の玄関先で人目もはばからず号泣してしまいました」と当時の状況を語った。毎日新聞の取材に対し、長男は「父に『捕まってよかったね』と伝えたいが、もう帰ってこない」と無念の思いを吐露している。父親は「200歳までやる」と和菓子作りへの情熱を語っていた倹約家であり、他人から恨まれるような人物ではなかったという。
なぜ殺害に至ったのか、残る謎
事件から2カ月が経過し、容疑者が逮捕された今も、犯行の動機については不明な点が多い。長男は2容疑者と面識が一切なく、「なぜ殺人まで犯したのかが不思議でならない」と語っている。現場の店舗は創業から約100年続く老舗であり、斉藤さんは地元で愛される職人だった。警察は、金庫を奪う目的で侵入した2人が、なぜ凶行に及ぶに至ったのか、事件の全容解明を進めている。事件発生前日、店がいつもより1時間早く閉まっていたという長男の証言もあり、警察は犯行の計画性を含めて捜査を継続する方針だ。