2022年9月、カリフォルニア州からテネシー州へ移住したマイク・ハーディングが消息を絶った事件をめぐり、ケンタッキー州バークスビルの空き物件で遺体が発見された。背後には妻の元カリフォルニア・ハイウェイ・パトロール隊長ジュリー・ハーディングと、共謀したとされるトマス・オドネルの影があった。
デール・ホロー湖畔の「呪われた」豪邸と消えた夫
マイクの妻であり、カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールの隊長だったジュリー・ハーディングは、サクラメントの自宅からケンタッキー州警察へ切迫した電話をかけ続けた。マイクの妻ジュリー・ハーディングは、夫の行方や捜査の進展について情報が一切得られないと訴えた。クレイ郡のブランドン・ブーン保安官は、夫婦の間で非常に泥沼化した離婚調停が行われていたと指摘している。当時48歳だったマイク・ハーディングは、身の危険を恐れて友人らに不安を漏らしており、万が一失踪したり殺害されたりした場合には妻の関与を調べるよう伝えていた。
捜査を進めたテネシー州クレイ郡のブランドン・ブーン保安官らは、マイクの足取りを追う中で、マイクが2022年9月にバークスビルの空き物件で遺体となって発見され、銃撃されていたことが判明した。遺体は3つの建物がある敷地内で見つかり、家族連れで同所を訪れていたデヴィッド・ハマーズリーによって発見された。捜査関係者らは、マイクが発見されるおよそ1週間前の時期に殺害されたとみている。アン・マリー・ゴードン・アンダーソンや、マイクの友人であるキャシー・ルークらの証言によると、現場に残された現金の持ち主やその行方をめぐって関係者の主張が対立した。マイクの息子であるスティーヴン・ハーディングは、金銭の多くが父親のものだったと主張した一方で、娘のヘザー・カヴァリエリは父親こそが被害者であると語った。.
偽りの依頼と暴かれた殺害計画の全貌
捜査当局は、マイクを現場へ誘き出した手口を解明した。マイクは冷暖房サービスの依頼を装った「ジェームズ・フレイザー」と名乗る人物からのメッセージを受け取り、現地へ向かった。BJ・バートン刑事らは、発信元となった電話番号がこの殺害計画のために用意されたプリペイド式のものであり、架空の名前が使われていたと判断した。捜査員が通信記録をたどった結果、テキサス州ヒューストン出身の元自動車セールスマンであるトマス・オドネルの関与が浮上した。
フレイザーという人物は架空の身分であり、通信記録や位置情報データを分析した結果、使われたプリペイド携帯電話はトマス・オドネルの個人用携帯と同じ動きをしていた。オドネルはテキサス州ヒューストン出身の元自動車セールスマンで、後にカリフォルニア州ナパに移住していた人物である。捜査員らは、ジュリーとオドネルが富裕層向けの出会い系ウェブサイトで知り合ったとみている。検察側は、ふたりが数ヶ月の間に194回もの頻繁な電話連絡を取り合っていたことを明らかにし、マイクが殺害される直前まで連絡が続いていたと指摘した。

ケンタッキー州警察の鑑識チームがマイクのトラックを詳しく調べたところ、車内から採取された複数のスワブから採取されたDNAサンプルがトマス・オドネルのDNAと一致した。
オドネルの有罪判決とジュリーの悲劇的な結末
直接の殺人容疑でジュリーを立件するだけの証拠は揃わなかったものの、彼女を取り巻く状況は急速に崩壊していった。ジュリーは友人が預かっていたマイクの愛犬ボクサーの「チャーリー」を連れ去ったとして、不法侵入罪で逮捕された。その後、彼女は自身の身柄について裁判所に出頭することになっていた。

ジュリー・ハーディングは遺書の中で「1年前まで私は良い人生を送っていた。マイク、あなたの勝ちよ!」と書き残していた。
現場に残された血痕のついたメモには、マイクに対する複雑な感情と絶望が綴られていた。ジェシー・ストックトン検察官は、長い法廷闘争の末にようやく遺族へ一定の司法の決着がもたらされたと評価している。