2022年11月15日、アラバマ州ハンツビルのショッピングモールで、37歳のサヴァンナ・トルバートが赤いテスラ車内で後頭部を撃たれて死亡しているのが発見された。当初は自殺とみられていたが、防犯カメラの映像などから夫であるデヴィッド・トルバートが逮捕され、2025年5月に資本殺人で有罪判決を受けた。
ハンツビルの駐車場で起きた事件と最初の捜査
2022年11月15日火曜日、アラバマ州ハンツビルのハイウェイ72号線沿いにある小さなショッピングモールの駐車場で、サヴァンナ・ハンコック・トルバートが死亡しているのが発見された。現場となった赤いテスラ車内には、彼女の遺体が残されていた。
サヴァンナ・ハンコック・トルバートは、アラバマ州に暮らす37歳の母親であり妻であった。現場に駆けつけたハンツビル警察の初期捜査では、車の前部座席に座っていたサヴァンナの後頭部(左側付近)に銃弾の痕があったことから、自殺の可能性が疑われた。しかし、周囲の状況や証拠は次第に食い違いを見せ始め、捜査の方向性は大きく変わることになった。
警察の通報を受けて現場に到着する直前、彼女の夫であるデヴィッド・T・トルバートは、自身が働いていた店舗内の防犯カメラに捉えられていた。遺体を発見した直後の店舗内で、デヴィッドはショックを受けた様子で、口を手で覆いながら足早に歩く姿が記録されている。サヴァンナは事件当日、青いキア・ソレントを運転して店へ向かっていた。

防犯カメラの映像が覆した夫のアリバイ
かつて矯正官として勤務していたデヴィッド・トルバートは、新しい店舗のオーナーらが健康診断の準備をするのを手伝っていた。デヴィッドは、妻が自分に会うために店にやって来たと警察に説明していた。しかし、店舗や周辺の防犯カメラの映像を解析したところ、デヴィッドの説明とは異なる足取りが浮かび上がった。
裁判の過程で、検察側は防犯カメラの映像を重要な証拠として提示した。映像には、デヴィッドが赤いテスラへ歩いて近づく様子や、車周辺での不審な動きが捉えられていた。バレー・プールの防犯カメラ映像でもデヴィッドの動きが確認され、その後デヴィッドが店に戻った後、身元の分からない人物がテスラのそばに立ち、サヴァンナが車の助手席側のドアに近づく姿が確認されている。その正体不明の人物が立ち去ったおよそ20分後、今度はデヴィッド自身が自分の車へと歩いていく姿が捉えられていた。捜査員らは、約20分後に暗い服を着てテスラの運転席側に立っていた人物がデヴィッド・トルバートであると特定した。また、調査の結果、デヴィッドは駐車場の位置にあるカメラの存在に気づいていなかったとみられている。

浮気の発覚と残された証拠
捜査が進むにつれ、夫婦関係の裏側が明るみに出た。サヴァンナの家族や友人らは、彼女が周囲の人間が困難な状況にあるときに高い共感力や気づきを示していたと語っている。サヴァンナは生前、ソーシャルメディア上で母親が16歳のときに自殺で亡くなったという個人的な話題や、世界自殺予防デーに関する動画などを投稿していた。
第一応答者から、銃創がサヴァンナの後頭部左側付近にあったと聞かされていた警察官のジョンソンは、デヴィッドとの警察の取り調べの中で、彼女がどちらの利き手かを確認した。デヴィッドはサヴァンナが右利きであると答え、車に入ったときに銃を見たか尋ねられている。
専門家の分析では、車内でヘッドレストがある状態で、自分で腕や手を後ろに回して頭の後ろを銃撃することは非常に困難であることが指摘された。さらに、サヴァンナの手からは銃撃残留物が検出されず、頭部には銃口のインプリント(痕)も残されていなかった。事件当時、彼女が車内に座っていたという事実から、これが資本殺人に該当すると判断された。
マディソン郡陪審による有罪判決と裁判の行方
警察は、三度目の警察の取り調べが行われた2022年12月9日にデヴィッド・トルバートを逮捕した。元矯正施設職員だったデヴィッドは、ハンツビルで行われた裁判でマディソン郡の陪審団により有罪評決を受け、2025年5月に資本殺人の罪で仮釈放なしの終身刑が言い渡された。
デヴィッドは判決に対して控訴したが、アラバマ州刑事控訴裁判所によって2026年1月に棄却され、アラバマ州最高裁判所も同年に入り上告を退けた。彼は現在、かつて自身が矯正官として勤務していたライムストーン刑務所に収監されている。
この事件および捜査の過程は、CBSの長寿ドキュメンタリー番組『48 Hours』のエピソード「What the Cameras Saw」で取り上げられた。同番組には、サヴァンナの姉妹であるホリー・ハンコックおよびエイプリル・ハンコック、元夫のアンディ・フォスター、事件当時14歳だった娘のエーヴリー・フォスター、そしてハンツビル警察署の複数の捜査官らが出演している。