ボストン交響楽団(BSO)の音楽家らは土曜日の午前、楽団の歴史上で初となるストライキの実施権を認める投票を行い、全会一致で可決した。この決定は、現行の労働契約が日曜日の午後11時59分に期限を迎える直前になされたものである。
今回の可決は、直ちにストライキを開始することを意味するものではない。ボストン音楽家協会(Boston Musicians Association)などの関係組織によれば、この措置は交渉のテーブルにおけるレバレッジを確保するためのものであり、団体交渉協約について合意に至らなかった場合に労働停止へと踏み切る道を開くものである。
音楽監督の解任を巡る深刻な対立
今回の事態の背景には、音楽監督であるアンドリス・ネルソンズ氏の解任決定を巡る深い分断がある。BSOの理事会は3月、ネルソンズ氏の契約を更新しないことを突如発表した。チャド・スミスCEO兼社長は、理事会がこの決定を下したのは、ネルソンズ氏が「将来のビジョンについて一致していなかった」ためであると述べている。
2011年にジェームズ・レヴァイン氏の後任として就任し、13シーズンを務めたネルソンズ氏は、この決定について「私が予想していた、あるいは望んでいた決定ではない」と応じている。一方、音楽家たちの多くはネルソンズ氏を深く敬愛しており、解任の決定プロセスに自分たちが相談されなかったことに強い不満を抱いている。今夏、タングルウッドでは、音楽家たちがネルソンズ氏への支持を示すために赤い花を身に着けていたことが報じられている。
交渉の争点と信頼の崩壊
春から始まった次期3年間の労働契約交渉は、音楽監督の解任に伴う組織的な混乱と密接に結びついている。音楽家側は、賃金、ヘルスケア、年金といった伝統的な労働条件に加え、プログラミングや次期音楽監督の選定を含む、芸術的な意思決定における権限の拡大を求めている。

ボストン交響楽団奏者委員会は声明の中で、経営陣が「破壊された信頼を回復し、BSOの心臓であり魂である音楽家たちに公正な契約を提示する」ための団体交渉協約に合意できていないと批判した。また、組合側が提案した専門の調停人の導入についても、経営陣が同意していないと指摘している。
経営陣の反応と今後の見通し
チャド・スミス社長は、ストライキの実施権承認について「交渉プロセスの一環」として音楽家たちの権利を尊重すると述べた。スミス氏は声明で、「我々の焦点は引き続き交渉と、現在進行中の建設的な対話にある」とし、「奏者との協調を強化し、競争力のある給与と福利厚生を備えた合意に達することに尽力している」と強調した。

BSOの交渉に詳しい関係者は、契約期限が迫る中での今回の投票は標準的な手続きであり、予想されていたステップであるとしている。両者は週末にかけて交渉を継続する予定となっている。
本件に関する主要なタイムラインと状況
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 契約期限 | 8月23日(日)午後11時59分 |
| 投票結果 | ストライキ実施権を全会一致で可決 |
| 主な争点 | 賃金・福利厚生、芸術的意思決定への参画、信頼回復 |
| 対立の端緒 | 3月に発表されたアンドリス・ネルソンズ音楽監督の契約非更新 |