大阪府警は14日、ペットショップチェーン「Aペット」の代表・天見恭之容疑者ら4人を獣医師法違反の疑いで逮捕した。無資格の店員に犬や猫への注射を指示した疑いが持たれており、朝日新聞によると、投与された9匹のうち7匹が死んでいる。
無資格店員による注射と相次ぐ死亡
大阪府警生活環境課の発表によると、逮捕されたのは「Aペット」代表の天見恭之容疑者(42)ら男女4人。容疑者らは共謀の上、2025年1月から2026年1月にかけて、大阪府内の4店舗で獣医師免許を持たない店員に対し、販売用の犬や猫計9匹へ「インターキャット」と呼ばれる感染症用の注射薬を計11回投与させた疑いが持たれている。
この注射薬は「劇薬」に指定されており、本来は獣医師の判断と技術が必要なものだ。関係者によると、2026年1月に注射を打たれた子犬が翌日に死んだとの相談が警察に寄せられ、捜査が始まったという。朝日新聞の取材に対し、府警は9匹のうち7匹が死んだことを明らかにしている。なお、残る2匹は回復後に販売されたとみられる。
「投薬マニュアル」で繰り返された診療行為
府警は今年3月、大阪府内や東京都内にある「Aペット」の11店舗など約30カ所を家宅捜索した。複数の店舗からは、店員に対して注射薬の投与などを指示する「投薬マニュアル」が見つかっており、府内の8店舗からは注射薬そのものも押収された。
捜査関係者の調べに対し、府警は経費削減を目的として、無資格での治療行為が常態化していた可能性があるとみて詳しく調べている。獣医師の資格を持たない者が注射を行うことの危険性について、動物病院ラスティーの南本真成獣医師は「副反応が出た際の対処ができないことが一番怖い」と指摘し、無資格者による診療は「言語道断」と厳しく批判した。
獣医師による無許可の医薬品販売
今回の事件では、Aペットへの医薬品供給ルートについても解明が進んでいる。府警は、株式会社ジョイ診療所(茨城県龍ケ崎市)代表で獣医師の埜田博実容疑者(78)ら2人を、医薬品医療機器法違反の疑いで逮捕した。
朝日新聞およびInfoseekニュースによると、埜田容疑者らは販売業の許可を得ていないにもかかわらず、2026年2月に計2回、総額42万5900円相当の動物用医薬品77点をAペットへ売り渡した疑いが持たれている。埜田容疑者らは当時、Aペットの店舗で診療にあたる立場にあった。製薬会社に店舗併設の診療所へ納品するよう発注し、差額として約9万5千円の利益を得ていたという。府警は、Aペットの店員が使用していたインターキャットも、このルートで供給されたものとみて裏付けを進めている。

全国展開するペットショップの管理体制
「Aペット」は2026年3月時点で12都府県に44店舗を展開しており、その多くはホームセンターのペットコーナーに出店していた。今回の事件は、こうした広域にわたる店舗網の中で、本来守られるべき獣医療の安全基準が軽視されていた可能性を示唆している。
警察は、天見容疑者ら逮捕者全員の認否を明らかにしていない。今後、警察は押収したマニュアルや医薬品の流通ルートを精査し、組織的に無資格診療が指示されていた経緯や、死んだ犬猫と投与された注射との因果関係について慎重に捜査を続ける方針だ。