フランス全土で高校生の抗議運動が拡大し、10月6日には主催者発表で45万人が参加する全国一斉デモが行われた。教育政策への不満から始まった運動は、主要労働組合や他世代も巻き込む社会運動へと発展しており、2027年の大統領選挙を控えた政治情勢にも影響を及ぼしている。
全国3700校のうち半数が影響を受けた抗議運動
フランスで続く高校生の運動が、開始から3週目を迎え、急速に規模を拡大している。2026年10月6日、主催者の発表によると全国で45万人がデモに参加した。パリだけでも10万人が通りを埋め尽くした。フランス国内の高校3700校のうち、1800校が封鎖やデモ、あるいは教育省による閉鎖の対象となった。これは国内の高校のほぼ2校に1校が運動の影響を受けた計算となり、過去20〜30年で最大級の規模であると、ニュースレター「パリの向こう側 森野咲の日本脱出記」は報じている。
労働組合や農民も合流し社会運動へ発展
当初は高校生組合が主導したこの運動だが、現在はその枠を超えて社会各層が連帯している。大学の9割でも封鎖や動員の影響が見られたほか、教職員の労働組合もストライキを呼びかけるなど合流が相次いだ。CGT、FO、FSU、Solidaires、CFDTといった主要な労働組合も支持を表明している。さらには農民組合(Confédération paysanne)が活動家に対し、トラクターで集会へ向かうよう呼びかける事態となった。デモの現場では、労働組合が列の前方を歩き、後方を高校生がプラカードを手に歩く光景が見られた。
1968年5月を想起させる世代的な広がりの背景
参加者の中には、「67世代が68年5月革命をもう一度起こす」と書かれたプラカードを掲げる学生が目立った。この「67世代」は、現在のティーン世代を象徴するミームとして広まっている。デモ隊からは「労働者と高校生、同じ闘い!」というコールが響き、教育問題だけでなく、極右勢力との対決や警察の暴力といった政治的テーマが前面に押し出された。若者の間では、「若者は国民戦線なんかクソ喰らえ」といった反極右のスローガンも頻繁に叫ばれている。
2027年大統領選に向けた政治的エネルギーの攻防
政府側は、一連の運動を左派政党による「政治的な利用・扇動」であると主張している。これに対し、LFIやフランス共産党などの左派政党は高校生への支持を表明した。2027年の大統領選挙を目前に控え、本来であれば社会運動が沈静化しやすい時期だが、今回の運動は「選挙まで待つ」という従来の傾向を覆している。パリのデモ現場では、ある高校生がジャン=リュック・メランションと交流する場面も見られ、若い世代の左傾化と、それを吸収しようとする政治家との構図が浮かび上がっている。
今回の運動では、高校生から始まった動きにほかの社会勢力が次々と合流しており、いまや単独の高校問題を越えて社会全体に拡大しつつある。
今後の運動のゆくえと政治的アジェンダ
政府の予算案をめぐっては、多数派形成のために極右勢力が与党の予算削減案に乗る見込みとされており、これが若者たちの反発を強める要因の一つとなっている。未成年に対しても警察による大規模な検挙や重傷者が出る事態が続いているが、運動が沈静化する兆しは見られない。選挙前のこの時期に、高校生たちが自らの要求を政治的アジェンダにどこまで押し込めるのか、その動向が注目されている。