パナマ運河庁(ACP)は、エルニーニョ現象に伴う降雨量減少と水位低下への対策として、2026年9月より船舶の1日あたりの通行数を段階的に削減することを決定した。気候変動の影響で今年のエルニーニョは例年より強く、期間も長くなると予想されており、運河の長期的な持続可能性を確保するための措置となる。
段階的な通行制限のスケジュール
通行数の削減は2026年9月3日から段階的に導入される。具体的には、9月4日から15日にかけて、1日あたりの通行数を現在の40隻から34隻、さらに32隻へと削減する計画だ。9月15日以降は、現在の1日36隻(通常時)から32隻へと制限されることが、海運各社に通知された。
ACPは、今回の措置について、サービスの信頼性を維持し、人々の飲料水としての水資源を保護するために不可欠であるとしている。中米では雨季に入っており、すでに一部の水節約策が実施されているが、さらなる行動が必要であると説明している。
運河運営への影響と新たなリソース配分策
パナマ運河はロック(閘門)の作動に淡水を使用しており、その水源となるガトゥン湖の水位に依存している。2023年から2024年にかけては歴史的な干ばつに見舞われ、1950年の記録開始以来、最も乾燥した10月を記録した。この際、通行数は最終的に1日25隻まで削減され、船舶が数週間待機する事態や、予約枠を確保するための高額な支払いが発生した。
今回の制限に伴い、ACPは9月3日から通行枠の1日あたりのオークションを、貨物の種類に応じた4つのカテゴリーに分割し、より公平な配分を促進する。また、大型のネオパナマックス・ロックにおいては、最大容量を持つ船舶に優先権を与える方針だ。利用者に対しては、事前の予約を強く推奨している。
世界貿易とパナマ経済へのリスク
パナマ運河は大西洋と太平洋を結び、南米南端を回るルートに比べて航程を約13,000km短縮できるため、世界海運の要となっている。年間約14,000隻の船舶が利用し、世界海事貿易の3%から5%を占める。また、パナマ政府にとって重要な収入源であり、2025年度の収益は約30億ドルに達している。

エルニーニョの影響と今後の展望
気候科学者は、今年のエルニーニョを「スーパー・エルニーニョ」と呼び、記録上最も激しい現象の一つになる可能性があると警鐘を鳴らしている。過去の分析では、2023年の深刻な干ばつはエルニーニョの影響で降雨量が約8%減少したことが要因であり、エルニーニョがなければ発生しなかった可能性が高いとされている。

2050年までに運河の水利用量は2倍以上に増加すると予想されており、今後も特にエルニーニョの年には飲料水確保のための通行制限が再導入される可能性がある。ACPは、天候状況が予想以上の速さで変化しているとして、必要に応じてさらなる運用調整を行い、顧客にタイムリーに情報を共有するとしている。
パナマ運河の通行制限概要
| 期間 | 1日あたりの通行数 | 備考 |
|---|---|---|
| 現在 | 36隻(通常時) / 40隻 | 現状の運用 |
| 2026年9月4日〜15日 | 40隻 → 34隻 → 32隻 | 段階的な削減期間 |
| 2026年9月15日以降 | 32隻 | 制限後の運用数 |
今回の措置により、液化天然ガス(LNG)や食料品などの貿易業者が再びこのルートを利用するよう促すとともに、グローバル物流企業は110年の歴史を持つこの運河での混乱に備えている。