2026年9月上旬、オハイオ州カンフィールドで開催されていた「キャンフィールド・フェア」の会場で、民主党の州知事候補であるエイミー・アクトン氏に接近しようとした男が警察に拘束された。事件当時、会場のテント付近で騒動が発生し、複数の一般参加者が転倒する事態となった。
フェア会場での突入と浮上した容疑
パトリック・ハバス容疑者(38)は、アクトン氏の陣営に向かって人混みを押し分けて進もうとした際、高齢の男女2人を地面に押し倒したとされる。容疑者はオハイオ・ハイウェイ・パトロールの治安維持要員によってその場で取り押さえられた。事件直後、警察当局が容疑者の所持品を調べたところ、2丁の銃器、メリケンサック、およびテイザー銃が発見された。
当局によると、ハバス容疑者は事件の最中に銃器の銃口を向けたり、威嚇したりする行為は行っていなかった。オハイオ州のオープンキャリー法では、衣服の下に隠さない限り、成人の銃器所持が認められている。マホーニング郡のリン・マロ検察官は、銃器の所持そのものを理由に重罪を適用することは法的に困難であると説明している。
ビデオ映像の欠如と重罪見送りの判断
マホーニング郡検察当局は、ハバス容疑者に対する重罪での起訴を見送る方針を示した。この判断の背景には、検証可能な客観的映像の不足がある。検察側によると、アクトン氏の陣営側が事件直前に周囲の人々に対して撮影を止めるよう要請していたため、公的な現場映像が極めて限定的となっている。
「これまでに受け取った情報では、アクトン陣営がこの事件の直前に、個人に対して撮影をやめるよう要請していたということです。したがって、現時点で私たちが保有している映像は被告のものだけです。そして、そこに示されている内容は、確実に重罪の起訴を裏付けるものではありません。」 リン・マロ(マホーニング郡検察官)

マロ検察官によれば、容疑者の携帯電話から見つかった映像には、容疑者がテントに入り、名前を大声で呼びながら前進する様子が捉えられていたという。しかし、その直後に警備担当者が介入し、携帯電話が地面に落とされるか弾き飛ばされたため、それ以降の記録は残っていない。容疑者のスマートフォンに保存されていたデータについては完全な捜索に同意していると、検察当局が記者団に対して明らかにしている。
裁判所による保釈条件と今後の司法手続き
マホーニング郡の裁判所で行われた罪状認否において、ハバス容疑者は暴行罪2件、治安紊乱罪1件、およびパニック惹起罪1件の計4件の軽罪について、いずれも無罪を主張した。担当判事は、現金保証金5,000ドルの納付を条件に保釈を認めるとともに、容疑者に対して所有するすべての武器の引き渡しを命じた。また、メディアへの接触禁止および、アクトン氏や被害を受けた高齢夫婦への接触禁止が言い渡されている。
目撃者の証言や当時の状況について、元連邦下院議員のジョン・ボッチエリ氏は、自身がアクトン氏からわずか「腕の長さ分」ほどの距離にいたと振り返り、容疑者が「非常に大柄な男による攻撃的な動き」を見せたと証言している。
陣営の反応と政治的余波
アクトン陣営のコミュニケーション担当ディレクターであるアディ・ブロック氏は、法執行機関の迅速な対応に謝意を示しつつ、政治的暴力への懸念を表明した。

「キャンフィールド・フェアに出席中、武装した人物がアクトン博士に突進し、複数人が負傷しました。アクトン博士とエリックは、法執行機関の迅速かつ断固たる対応に深く感謝しており、負傷された方々の回復を祈っています。こうした暴力行為はオハイオ州にあってはなりません。」 アディ・ブロック(アクトン陣営広報担当)
一方、対立候補である共和党のヴィヴェック・ラマスワミ氏の陣営も、コンニー・ラック報道官を通じて声明を発表した。候補者は脅迫や暴力を恐れることなく有権者と面会できるべきだとした上で、「本日起きたことは完全に容認できないものであり、政治において居場所はない。誰も負傷していないことを願う」と述べている。