メキシコの太平洋岸に接近しているハリケーン「シモン」は、米国立ハリケーンセンターの予報によると、急速に勢力を強めてカテゴリー4の非常に危険な大型ハリケーンへと発達し、週末には同国西部の観光地や沿岸部へ上陸する見通しです。
米国立ハリケーンセンターとメキシコ気象局によるシモンの勢力予測
米国立ハリケーンセンター(マイアミ)によると、金曜日早朝の時点でシモンは最大持続風速が時速150キロ(90マイル)のカテゴリー1のハリケーンであり、時速7キロ(5キロ)で北西へ移動していました。マンサニージョの南約345キロ、カボ・コリエンテスの南南東約515キロに位置しており、金曜日早朝から北向きに進路を変えて海岸に接近すると予想されています。
中心気圧や勢力について、米国立ハリケーンセンターは上陸前にカテゴリー4へと急速に発達するとの見解を示しています。一方で、メキシコ気象局の気象学者ファビアン・バスケス・ロマニャ氏は、ハリケーンが猛烈なカテゴリー3の勢力でハリスコ州の海岸に直撃すると述べており、ピーク時の厳密な強さの予測には一部で違いがあるものの、いずれの機関も大型ハリケーンとしての深刻な影響を危惧しています。
ハリスコ州における住民の避難と休校措置
ハリスコ州における住民の避難と休校措置
米国の観光客にも人気の高いプエルトバジャルタやハリスコ州の沿岸部が暴風雨の直接的な脅威にさらされる中、地元当局は迅速な警戒態勢に入っています。ハリスコ州は、22の沿岸自治体において金曜日と月曜日の休校を決定しました。危険な地域から数十人の住民の避難を開始させるとともに、プエルトバジャルタの観光業者に対して、金曜日の午後までに全ての従業員と旅行者を避難所や安全なゾーンへ確実に収容するよう要請しました。
「もし私たちが警戒を緩め、土壇場の行動計画を何とか立てようものなら、命が失われる可能性が極めて高いです。」 セルヒオ・ラミレス、ハリスコ州市民保護局長(The Independentによる)
ハリスコ州のパブロ・レムス知事は、マンサニージョとプエルトバジャルタの間で進路が変わり続けるシモンの「非常に不規則な挙動」を指摘し、常に最新の情報を把握するよう強く促しました。「確実なのは、この金曜日から週末にかけて、そして月曜日に至るまで、非常に激しい雨を伴ってハリスコ州の海岸を直撃するということです」と同知事は述べています。
また、米国の公式機関や大使館は、旅行者や地元住民に対して海岸への接近や遊泳を避けるよう厳重な警戒を呼びかけています。メキシコ海軍はコリマ州で緊急対応要員を動員し、ミチョアカン州や太平洋岸の一部で港湾交通や船舶の航行を制限する措置をとりました。
メキシコ太平洋岸に予想される記録的な大雨と浸水被害
メキシコ太平洋岸に予想される記録的な大雨と浸水被害

シモンがもたらす最大の脅威は風だけでなく、山間部から太平洋岸にかけて急激に斜面が不安定化する中での、生命を脅かすほどの洪水や土砂崩れのリスクにあります。米国の予報では、南西部で20〜38センチ(8〜15インチ)の降雨が予想され、孤立した地域では最大63センチ(25インチ)に達する可能性があるとされています。
アキュウェザーのシニア気象学者タイラー・ロイズ氏は、シモンが2023年にハリスコ州の沿岸で数千棟の住宅に被害を出し農作物を壊滅させたハリケーン「リディア」以降で最も深刻な影響を同地域にもたらす可能性があると指摘しています。ミチョアカン州、コリマ州、ハリスコ州、ナヤリット州の一部では孤立した場所で最高30インチ(762ミリ)の降雨が懸念されています。
ゲレロ州でも木曜日以降の豪雨により、特にアカプルコ港で道路が川のように変貌し、車両が流されるなどの深刻な浸水被害が発生しました。エブリン・サルガド知事によると、これまでに人的被害の報告は出ていませんが、同州は授業や非必須の活動を停止させています。
ワールド・セントラル・キッチンによる支援とエルニーニョ現象の影響
支援組織の事前配備とエルニーニョ現象の影響
この異例の太平洋側の活発なハリケーンシーズンは、強いエルニーニョ現象の影響によるものであり、通常は大西洋側の活動を抑制する気候変動要因となっています。シモンが接近する一方、遠く北方では熱帯風暴レイチェルがバハ・カリフォルニアや南カリフォルニアに向けて移動しており、週末には米国南西部やカリフォルニア南部にも大量の湿気と大雨をもたらす見込みです。