ワシントンD.C.の歴史あるパブリックゴルフ場「イースト・ポトマック・ゴルフ・リンクス」の改修計画をめぐり、連邦地裁の法廷でトランプ政権側と裁判所が激しく対立した。事前の通知なしに数百本の樹木が急速に伐採されたことを受け、担当判事は政権側の信頼が失墜したと厳しく追及している。
無断での大量伐採と法廷での激しい叱責
連邦地裁のアナ・C・レエス判事は、事前の通知を求めていた指示が無視されたと指摘し、政府は裁判所に対する信頼を完全に失墜させたと非難した。「430本の木!」と判事は怒りをあらわにし、「あなた方がまさにやらないと信じていたことを、まさにやってしまった」と述べ、政府の対応に強い不信感を示している。
アナ・C・レエス連邦地裁判事がNewsweekに語ったところによると、適切な事前の通知なしに500本以上の木が伐採されたことは、この件に関して「政府はその信頼をすべて失墜させた」という。
大統領によるSNS投稿と高まる緊張
法廷での対立が深まる中、ドナルド・トランプ大統領は自身のソーシャルメディアを通じて、レエス判事を「正気を失った狂人」と呼び、正気であるかどうか疑問視する投稿を行った。
トランプ氏が描き出すスケジュールに対し、現場の責任者からは混乱を裏付ける証言が相次いだ。内務省の政策担当副首席補佐官であるグレッグ・ウィッシャーは、11月15日という閉鎖日についてインターネット上で検索して知ったと証言した。国立公園局の局長代理を務めるジェシカ・バウロンや、ナショナル・モール・アンド・メモリアル・パークスのスーパーintendentであるケビン・グリースらも公聴会で証言を行った。
市民の利用環境を巡る利害の対立
市民や保護団体は、D.C.プリザベーション・リーグによる訴訟を起こすなど、高級トーナメント向けコースへの転換が首都における安価なパブリックゴルフの場を奪うのではないかと強く懸念している。1897年にコングレスが人々のレクリエーションと娯楽のための公園として指定したこの場所には、1920年にオープンしたゴルフ場が含まれており、手頃なパブリックゴルフのモデルとして親しまれてきた。国立公園局が2020年にこのコースをリースして以降、年間ラウンド数は6万回未満から12万回以上に倍増していた。一方で、トランプ氏はこうした既存施設について非常に状態が悪いと主張している。

ドナルド・トランプがBBCに語ったところによると、「現在のコースは古く、壊れており、荒れ果てており、もはや何の役にも立たないし効果もない。非常に状態が悪く、倒木や危険な木、病害に侵された木があり、そして何よりも、崩壊しかけている危険な防波堤がある」とのことだ。
司法による差し止めと今後の日程
7時間に及ぶ異例の公聴会の終盤、レエス判事は自身の家族から、オフィスに殺害予告が届いているとの報道についてテキストメッセージで知らされたことを明かした。「ゴルフ場を巡って連邦判事が殺害予告を受けている。創設者たちが想定していた事態とは到底思えない」と判事は語っている。

司法省側が判事の忌避を申し立てたものの、レエス判事はこれを週末に速やかに却下した。判事は一時的な差し止め命令を10月26日まで延長し、政府側に対しては、同日までの間、ゴルフ場の恒久的な構造や特徴を変更する作業を行う場合、3営業日前に裁判所および原告側へ文書で事前通知することを義務付けた。また、裁判所は公聴会の中で、司法省のスタン・ウッドワード氏らに対し、政府側の主張を支える意向があるかなどをただすなど、行政権に対する厳しい姿勢を示している。