米大統領ドナルド・トランプは10月20日、激戦州ノースカロライナ州グリーンビルで大規模な集会を開き、支持率が低迷する中での党内危機感や民主党の優勢を跳ね返すべく、支持層に共和党候補への投票を強く呼びかけた。
グリーンビル集会でのトランプの訴えと共和党の苦戦
支持率が過去最低水準に落ち込む中、ドナルド・トランプ大統領は10月20日夜、ノースカロライナ州東部の都市グリーンビルで大規模な演説を行った。共和党の上院候補マイケル・ワトリーを支援するためのもので、会場となった地方空港の敷地には数百人の支持者が集まった。
トランプは、11月3日のミッドターム(中間選挙)に向けて、9月下旬以降に4万6000キロメートル以上を移動して共和党候補を応援する選挙戦を展開しており、南部ノースカロライナ州への訪問はここ1ヶ月で2回目となった。
「彼らは我々の支持を正しく世論調査に反映させていない。我々にはもっと強い勢いがある。」
トム・ティリス上院議員が警告する中での選挙戦情勢
ノースカロライナ州の現職上院議員である共和党のトム・ティリスは、自身の引退に伴う今回の議席防衛について、党が歴史的な惨敗に直面していると公然と警鐘を鳴らしている。ティリスは政治メディアのインタビューに対し、11月3日の選挙に向けて党内が重大な危機を迎えていると述べた。

今回の上院選でマイケル・ワトリーと対決するのは、元民主党知事のロイ・クーパーであり、両党にとって極めて重要な激戦区となっている。ノースカロライナ州は2008年以来民主党の上院議員を選出していないものの、クーパーは2期務めた知事として高い知名度と人気を誇っている。
共和党の候補者選定を巡り、ティリスは、元州共和党委員長およびRNC(共和党全国委員会)委員長という経歴を持つワトリーでは、無党派層へのアピールが難しくなるのではないかと懸念を示している。もっと中道的なプロフィールの候補が必要であったとティリスは指摘し、党が強固な支持基盤を超えて幅広い有権者を獲得しなければならないと語った。
巨額の外部資金投入と半導体産業への巨額投資計画
ノースカロライナ州の各選挙区では、上下両院の多数派維持を巡って巨額の外部資金が飛び交っている。クーパーが世論調査で二桁のリードを広げたことを受け、共和党上院候補を支援する主要な政治行動委員会である上院リーダーシップ基金は、今月初めに同州への資金拠出を打ち切った。一方で、共和党グループは選挙戦に向けて州内で数千万ドル規模の資金をすでに投入している。

クック・ポリティカル・レポートは、ノースカロライナ州の連邦下院第1選挙区と第11選挙区の2つの議席を「トスアップ(接戦区)」に指定しており、今回の選挙サイクルで最も競争の激しい選挙区になると予想されている。第1選挙区では、現職の民主党下院議員ドン・デイビスと共和党の挑戦者ローリー・バックハートによる、2024年のリマッチ(再対決)が実現している。州議会は昨年に選挙区の境界線を改定し、共和党により有利な形に調整していた。グリーンビルはピット郡に位置し、同州の第3選挙区の一部であるが、第1選挙区の複数の郡と隣接しており、バックハートが有権者と結びつきを作るための重要な拠点となっている。
また、第11選挙区では、州下院議員のジェニファー・バルカムと、農家のジェイミー・エイガーが対決している。同議席は、下院の倫理調査を受けたことを理由に8月に再出馬しない意向を表明した共和党のチャック・エドワーズ現職下院議員の後任を争うものである。先月のガストニアでのラリーには、バックハートとバルカムの両名がスピーチを行い、知名度の向上に努めた。
トランプの訪問に先立ち、政権幹部もノースカロライナ州へ相次いで足を運んでいる。副大統領JD・ヴァンスは、9月にグリーンズボロで演説を行ったほか、10月19日にはウェスタン・ノースカロライナ州のヘンダーソンビルにあるハイダー・ウェアハウス(チェスナット・ギャップ・ロード142番地)で高プロファイルの共和党ラリーを開催し、第11選挙区のジェニファー・バルカムを支援した。
こうした政治的緊張のなか、トランプはグリーンビルの演説で地域経済に向けた大型投資計画を相次いで発表した。トランプは、シベルコが特定の詳細には触れずにステージ上で発表した計画に言及したほか、国防総省が州内の先端半導体製造に対して15億ドルを投資する方針を明らかにし、国内での半導体製造拡大を進める政権の方針をアピールした。
有権者の反応と開票に向けた不透明な先行き
ノースカロライナ州では10月15日に期日前投票が開始されており、トランプの訪問はその直後に行われた。しかし、中東情勢に関連する軍事行動や、それに伴うガソリンおよびディーゼル価格の高騰により、有権者の間に経済的な負担感が広がっている。

トランプはまた、民主党の犯罪対策政策を厳しく非難し、前知事ロイ・クーパーの囚人釈放方針が暴力犯罪を増加させたと主張して対立候補を揺さぶった。選挙戦の最終局面において、共和党が劣勢とされる議席をどこまで守り抜けるのか、その結果は全米の注目を集めている。